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大阪河﨑リハビリテーション大学

産官学連携による認知症予防活動
機種モデル:InBody270

大阪河﨑リハビリテーション大学は2006年に大阪・貝塚市に開校されたリハビリテーション専門職の教育に特化した大学です。前身の河﨑医療技術専門学校から数えると20年以上、リハビリに携わる人材の育成に尽力しています。2013年5月から大学の所在地である貝塚市と【「市民の健康及び社会福祉の充実」に関する連携協定】を締結して産官学連携を行い、市や企業と協力して健康福祉活動を行っています。その活動の一つに、「つげさん認知症予防プロジェクト」という活動があります。

icon-caret-up「つげさん認知症予防プロジェクト」の紹介動画。南海電鉄貝塚駅内の「まちの駅 かいづか」にて放映。

「つげさん認知症予防プロジェクト」は、大阪河﨑リハビリテーション大学と貝塚市福祉部高齢介護課、不二製油株式会社が参画して実施しています。そのプロジェクトのリーダーとして、大阪河﨑リハビリテーション大学理学療法学専攻の今岡真和先生が統括しています。

今岡先生が理学療法士の仕事を知ったきっかけは、高校の友人が交通事故に遭った際、そのリハビリの過程を見守ったことでした。高校卒業後は、京都府にある陸上自衛隊福知山駐屯地の衛生科で働き始めました。衛生科で選択できる職種の中には、看護師、救急救命士などもありましたが、勤務と並行して理学療法士の資格を取得する制度が存在しなかったため、先生は自衛隊を退職し、関西医療学園専門学校へ入学、理学療法士の資格を取得しました。専門学校を卒業した後、回復期病棟がある一般病院にて約2年勤務しました。その後、老健施設で7年半勤務しながら、大阪府立大学大学院にて研究活動を行って博士号(保健学)を修めました。老健施設では要介護・要支援の高齢者のリハビリを担当していましたが、利用者の多くが既に要介護度の高い方であり、リハビリの効果を十分に得られる前に亡くなってしまうことも珍しくありませんでした。この経験から、要介護・要支援になる前の、予防を目的とした理学療法に注力するようになりました。そのため、高齢期の予防領域において国内トップランナーである愛知県大府市の国立長寿医療研究センターにて特任研究員として勤務し、予防としての理学療法について知見を深めました。その後、2017年より現職である大阪河﨑リハビリテーション大学の理学療法学専攻の助教として赴任します。先生は老年学・公衆衛生学・地域理学療法学を専門とし、特に地域在住高齢者への理学療法に力を入れて活動しています。

icon-caret-up今岡真和先生

「理学療法士の仕事といえば、病気やケガを持っている方に対して運動・物理療法を行うイメージが強いかと思いますが、最近はまだ身体に症状が現れていない健康な方に対して、病気や疾患を予防するためのアプローチも行います。自治体・福祉施設・企業と連携して、健康な身体を維持していただけるように様々なイベントや運動教室を開催しています。」


InBodyとの出会い

「InBody S10は以前勤めていた老健施設で初めて使いました。体成分を計測してサルコペニアの診断¹⁾²⁾を行う際、入所されている方の約70%が車いすを使用していることから、立位だけでなく仰臥位・座位でも測定できるところが良かったです。」

一方、老健施設で理学療法士ができるリハビリに対して、今岡先生はもどかしさも感じていました。
「要介護の方は、リハビリを行っても年間で1~2%くらいの筋肉量しか改善しません。特に老健施設の入所者は要介護者の中でも重度の方ばかりで、理学療法を行うにも動くことさえ難しく、必要な運動量が確保できません。また、認知症を合併していることも多く、効果のある運動を指導しても正しい動きができなかったり、運動すること自体を忘れてしまったりします。付きっきりで指導する場合、制度上、週2回までしかリハビリを行うことができません。そのため、筋肉量の増加というよりは、筋肉量をどれだけ維持できるのかがポイントになってきます。終末期に差し掛かり亡くなるまでの間、いかに穏やかに過ごしてもらえるかを考えていました。」

このような経験から、先生は “要介護・要支援になる手前のフレイルでの予防活動にもっと力を入れるべきではないか? ” と考え、現在の活動に至りました。


産官学連携による健康推進事業

地域在住高齢者の疾病予防に取り組みたいと考えていた今岡先生は、大阪河﨑リハビリテーション大学に赴任後、「つげさん認知症予防プロジェクト」を立ち上げました。その中でも「つげさん元気アップ教室」は毎年開催されており、今年で3年目を迎えました。「つげさん元気アップ教室」は全12回で構成されており、初回に事前検査、第2回から第11回では約1時間の体操教室を行います。運動機能や認知機能を向上させて認知症を予防することを目的に、体操だけではなく認知機能トレーニングも導入しています。そして、最終回に事後検査を行って、3ヶ月間の取り組みの成果を確認します。

「つげさん体操」は、貝塚市が市制70周年を記念し、「貝塚市民の歌」に合わせて考案した体操で、貝塚市のイメージキャラクターである「つげさん」を冠しています。「つげサンバ」は今岡先生が監修した体操で、貝塚市出身のシンガーソングライター池田夢見さんが歌う「つげサンバ」というオリジナルソングに乗せ、地元名産品のタオルを用いた簡単な運動を組み合わせて楽しく行える体操です。「つげさん元気アップ体操」では、これらの体操を含め、計4種類の体操を実施します。また、体操は参加者の運動機能に合わせて行えるよう、3段階の難易度が用意されており、椅子に座って行える体操も用意されています。

icon-caret-up貝塚市イメージキャラクター つげさん

それ以前は、貝塚市との公民連携活動として、大学が認知症予防を目的とした測定会を各町会単位で行っていましたが、測定会の開催許可が降りた地域でのみしか実施できませんでした。そこで、より多くの方に参加してもらえるよう、貝塚市と大学から市民全体へ呼びかけました。そして、貝塚市の中央・山手・浜手地区の各圏域にある公民館や福祉センターに依頼し、参加者それぞれの家から近い最寄りの施設で参加できる形になりました。産業からの支援として泉州地域にゆかりのある不二製油株式会社がこの活動の支援をしています。

「自治体と共同でイベントを開催することのメリットは信頼です。私立大学だけでイベントを開催すると、どうしても研究色が強くなってしまい、参加者に対して被験者になるという印象を与えがちです。しかし、市と大学が協力して、市民の方々に向けた健康づくりの機会をサポートできれば、市と大学は信頼と専門性という点でお互いにメリットがあると思います。私たちの場合、貝塚市の高齢介護課の方がとても熱心に協力してくださったことも、イベント開催へと繋がる重要なポイントだったと思います。」

近年、認知機能と運動機能の関係が注目されていることから、従来の認知症予防のための機能測定会だけでなく、予防のための体操教室も一緒に開催することになりました。

「これまでの測定会では、認知症に関わる要因を調査することはできましたが、調査だけで終わっていました。理学療法士の専門性を活かして、実際に認知症を予防するために何ができるか、一歩踏み込んだ取り組みをすべきだと感じました。」

教室の期間を3ヶ月にしたのは、1回きりの体操教室では十分な効果が得られないためです。一定期間運動に取り組むことで、効果を十分に感じてもらいます。また、自治体側からすると、1年間の活動を四半期毎に区切って管理していることが多いため、3ヶ月という期間が重要なポイントの一つになります。最終的な目標は3ヶ月間の体操教室を通じて運動を習慣づけ、各自治体で自主的に体操を行う活動や、運動グループを活性化させて家族・町会・婦人会単位でも様々な運動を行ってもらうことです。

「3ヶ月間の教室終了後、体操をはじめとした運動を自主的に行っているグループがあるか大学で確認します。1年後に運動を継続しているか確認をすると、実際に続けているグループは10%未満しかなく、運動を継続させることの難しさを感じます。そのため、運動を続けていただけるように、オリジナル体操のDVDや体操でも使用できるタオルを配布しています。」

icon-caret-up左:オリジナル体操DVD  右:配布しているタオル


体操教室におけるInBodyの活用方法

icon-caret-rightInBody270測定風景

「つげさん元気アップ教室」では3ヶ月間の体操教室の最初と最後の回にInBody270による測定を行っています。これに加えて、教室が終了してから3ヶ月後の健診時にもInBody測定を行います。多い時は1日に約120名の測定を行うため、測定がスムーズに進むようにInBody測定だけでなく、骨密度やロコモチェックのための歩行力測定など裸足での測定が必要なものをひとまとめにする工夫をしています。

「毎年冬(1~3月)に体操教室を行い、夏に「ヘルスチェック」という高齢者向けの健診を行っています。InBody測定だけでなく、身長測定、骨密度、ロコモチェック、足型測定、学生と1対1で行う認知機能テストなども行います。この健診に教室参加者をお呼びして、教室終了後にも自主的に体操を継続することが筋肉量にどう影響するのかを確認していただきます。体操教室の前後を比較すると筋肉量は増加しますが、これまでの傾向から言うと、健診時は教室終了時よりも筋肉量がやや減少する傾向が見られます。自主的な運動だけでは筋肉量の維持が難しいことが示されたこともあり、健診にご参加いただいた方には改めて運動の重要性を説明するのですが、ここでもInBodyで測定した数値を活用しています。」

運動の習慣化のためには➀介入回数を増やすこと ➁動機付けを行うことが大切です。➀のみを重視して介入回数を増やしすぎてしまうと、高齢者人口が増加していく中で、教える側の人数やお金が足りなくなってしまいます。従って、どれだけ手軽に楽しく、専門家がいなくても運動を続けられるかに直結する➁がポイントになります。

「InBodyの測定項目ではSMIと部位別筋肉量をよく使用します。体操教室の参加者には事前検査でInBodyを測定した後、私が結果用紙の見方を簡単に説明します。ヘルスチェックでは、別日に福祉センターを借りて、健診の各測定結果の説明会を開きます。高齢者の方を対象にInBodyのたくさんある測定項目を一度に説明することは難しいため、主要項目をメインに理解していただきます。」

体成分を詳しく分析し、様々な項目で構成されるInBodyの結果用紙は医療施設や研究者には好まれますが、高齢者からすると測定項目が多すぎてどの項目を見たら良いのか区別がつきにくいです。そこで今岡先生は、高齢者向けに結果用紙を説明する資料を独自に作成しています。また、InBodyの結果用紙は必ず理学療法士の資格を持った教員が説明していますが、これは無資格の方や学生が説明をして解釈の誤解を招くことを防ぐためです。

icon-caret-up今岡先生が作成する結果用紙の見方資料

「3ヶ月間の体操教室の成果として、参加者の平均SMIが2%増加しました³⁾。期間中にウォーキングや筋トレを始めたことで運動量が増加した方もいれば、教室を途中で休んでしまった方もいる中での成果です。体操教室を機に、運動量を増やしてフレイルを防ぐ活動に取り組む方が増えていくことは、まさにこの体操教室の目指すところです。リピーターの方や、別のイベントに参加された方で、以前お渡しした結果用紙を持って来られる方もいらっしゃいます。前回と比べて今回はこうだった、といったように数値に関心を持ってもらえることは、運動へのモチベーションに繋がると思います。体操教室の事後アンケートでも、InBodyで筋肉量などの数値を見られて良かったという声が多いです。また、InBody結果用紙の紙は硬く、デザインがしっかりしているため、こんなに良いものを測ってもらえたと、高齢者の方はより一層喜ばれます。」

また、フレイル調査の体重減少に関する項目として、筋肉量が減少してフレイルが進行したのか、体脂肪量が減少して痩せたのかを確認する必要があります。この時もInBodyの測定結果をエビデンスとして使用しています。


学生の実習の場としての位置づけ

icon-caret-upヘルスチェックのポスター

「夏に行うヘルスチェックには、毎年約300名の希望者が参加します。会場は公民館や福祉センターを借りて、大学が主催します。市民の皆様には、約2万世帯への町会報や新聞の折り込みチラシで開催の周知を行います。」

ヘルスチェックで行うInBodyや骨密度などの様々な測定は、学生が主体となって実施します。1回のイベントに3年生を中心とした約30名が実習として参加します。理学療法士を目指す学生は運動機能測定を、作業療法士を目指す学生は認知機能テストや生活習慣に関するアンケートを行います。このように各専攻分野に合った実習を行うことで、学生の専門性を伸ばしています。体操教室・ヘルスチェックなどのイベント活動は学びの場としての機能面もあり、学生は貴重な実習経験を積むことができます。

icon-caret-up毎年夏に開催されるヘルスチェックの風景

「ヘルスチェックは学生だけでなく、ボランティアスタッフ⁴⁾の方にも補助をお願いしています。募集をかけて応募いただいた方々には、事前に測定方法や運動について説明する講習会を3日間受けていだきます。測定には直接関係ありませんが、高齢者の健康づくりのために必要な知識や運動なども教えます。スタッフの方々には、自宅に近い公民館や福祉センターでのヘルスチェックを定期的に手伝ってもらっています。」
icon-caret-up学長によるボランティアスタッフ養成の講習会風景

体操教室では、参加者のお手本となる体操インストラクターもプロのインストラクターから体操指導を受けた学生が担当しています。今後、社会に出てリハビリを行うときに運動指導ができるように、学習指導の一環として任せています。体操インストラクターはプロに依頼すればより質の高い体操教室を行えますが、大学は医療機関ではなく教育機関であることを意識しています。プロのインストラクターは体操教室のはじめの数回だけ、高齢者への指導を行っています。

「体操の見本がうまい学生・指導がうまい学生を、僕らも高齢者の方も求めてはいません。時には振り付けを間違えることもありますが、世代間交流を行うことは運動を続けるモチベーションに繋がると思います。学生の中には、体操教室で仲良くなった参加者の方から地域のお祭りに誘っていただくなど、体操教室の後も関わりが続いている学生もいます。」


フレイル予防のために広がる健康福祉活動

「つげさん認知症予防プロジェクト」は産官学連携における健康福祉活動のモデルケースとなっています。今岡先生は他の自治体へ体操教室の取り組みを紹介する講演活動も随時行っています。昨年は「いのち輝く未来社会デザイン」の取り組みで、大阪万博誘致のワーキンググループにて取り組み内容の発表を行いました。他にも、町会単位・校区単位や市外からの講演依頼も受けることが多く、昨年のクリスマスは貝塚市に隣接する岸和田市で認知症予防の講演とInBody測定を行いました。講演とInBody測定を一緒に行うと、参加者の反応がとても良く、大変好評をいただいています。大阪府からも健康福祉活動の先駆的な取り組みとして評価され、昨年の第4回大阪府健康づくりアワード地域部門では大阪河﨑リハビリテーション大学が最優秀賞を受賞しています。
icon-caret-upこれまで健康福祉活動で受賞された賞の数々

「自治体のみ・大学のみではこういった健康福祉活動を行っていくことは難しく、産官学の連携が大事になってきます。自治体はマンパワーが足りていませんが、大学は学生のマンパワーはあるものの広報活動や地域との繋がりに弱いため、周知活動や活動場所を提供していただくなど自治体のサポートが必要です。体操教室や健診を通じて、フレイルの方や認知機能が低い方が見つかった場合、大学でまとめたデータが貝塚市の高齢介護課を通じて地域包括センターに共有されます。そして、貝塚市は地域包括センターに在籍する地域のソーシャルワーカーやケアマネジャーに、対象の高齢者の方を定期的に訪問するように要請します。最近はビッグデータやAIの活用が注目されていますが、私たちが実際にできることは測定を通じてフレイルや認知症の高齢者の方を発見し、専門職に繋いでいくことです。過去には認知機能テストの点数が低い方の認知症の可能性を疑い、地域包括センターに連絡して実際に訪問で確認していただくと、認知症ではないと思われていた方が実は認知症だった、というようなケースもありました。」

icon-caret-up大学・貝塚市・地域包括センターと高齢者の関わり

厚生労働省は2020年4月より、75歳以上の後期高齢者を対象にフレイル検診を義務化しました。15項目による問診票を用いますが、それ以外の検診の内容は各自治体に委ねられます。ただ検診を行うだけでなく、どうすればフレイルを予防・改善することができるのか、どうやって大学・貝塚市・サポート企業が協力してフレイルへの取り組みを更に強化するのか、現在、市の高齢介護課と話し合っています。

「これまでデータを取った中で、興味深い点がありました。フレイルに該当する人は、そうでない人よりも就労している割合が高いという結果が示されたことです。従来のフレイルのイメージは、家に籠っている方や虚弱な方だと思います。フレイルの下位項目に『最近疲れやすいですか? 』『最近、あまり気分がのらないときがありますか? 』『運動習慣がありますか? 』というような質問がありますが、就労していると当然疲れやすく、運動習慣もないことでフレイルに該当しやすくなってしまいます。こういう傾向から今後、高齢者の社会参加を考えるにあたり、高齢期の働き方などを検討していく必要があります。」

第一興商からオリジナル体操の収載に関する依頼があり、今年の夏にはカラオケ機器に「つげサンバ」が収録されます。近年、若者の間ではカラオケ離れが進んでいますが、高齢者にとっては貴重なコミュニケーションの場です。そういった背景の中で、高齢者の方にもっとカラオケを楽しんでもらいたいという意図から、今岡先生に声が掛かりました。曲中では、学生が体操を実際に行っている映像が流れる予定で、先日都内での撮影を完了したばかりです。


終わりに

「高齢者の方はアクセスできる場所が限られています。InBodyを使って健康状態を管理しようと思うと、医療機関や大学のような研究施設、スポーツジムで測定をするしか方法がありません。公民館や校区毎にある地域包括センターにInBodyが設置され、もっと気軽にInBody測定ができる社会になってほしいと考えています。また、小学生の身体計測でも身長・体重は測定しますが、その中身は一体どうなっているのかまで確認することが、当たり前の世の中に変わっていくべきだと思います。」

これから理学療法士を目指す方に向けて、今岡先生は病院など一つの場所に限定して経験を積むのではなく、様々なフィールドに出て活動をしてほしいと言います。
「理学療法士は今後、更に予防の分野に進出していくと思います。疾病・疾患がある方だけでなく、地域在住高齢者の方をもっと知ってもらい、地域にどんどん出て活躍してほしいです。病院で働いている理学療法士さんでも、声をかけてもらえれば勉強会や講演会を行いますよ、という方はいらっしゃいますが、自分から日時・場所を決めて開催しようと動ける人はなかなかいません。また、患者は入院している限り、病気を治したいと思っているので医者やコメディカルの言うことをよく聞きます。一方、地域在住高齢者の方はまだ病気にかかっているわけではないので、理学療法士の指示に従ってもらうことが難しい場合があります。そういった方々とコミュニケーションを取る能力を是非培ってほしいです。お金になる活動ではないですが、この活動が10年後、更にその先まで継続すると、社会にとって大きな財産となることを意識してほしいです。最近では、中高年の難聴がアルツハイマーや認知症の一番のリスクになると報告されており、中高年からの予防活動・定期的な運動習慣の重要性も示されています。地域の方向けに活動する時は、InBodyのように定量評価ができる機器やテストが必要不可欠です。エビデンスとして認められている数値を専門的に正しく理解・活用し、その人の行動や生活習慣、考え方を変える提案ができる人になってほしいです。」

「私の座右の銘は ”Above and Beyond” です。”期待以上に/予想以上に” という意味ですが、今の取り組みができるだけ、”期待以上に/予想以上に” 広がってほしい、”期待以上に/予想以上に” 高くまで伝わってほしいと思っています。先日、府内の富田林市の保健センターに伺った際、私たちの活動が紹介されたリーフレットを目にした時はとても誇らしかったです。現在、大阪府内でも広がりつつありますが、もっと関西や国内の他の地域まで広がってほしいです。研究活動を行うことで、アカデミックな分野でも色んな方に活動を知ってもらいたいです。そして、私たちの活動が各地の健康福祉活動に活かされて、地域在住高齢者の方の『楽しく生きる』ことに役立つことを願っています。健康に楽しく生きてほしいと言いながら、毎晩晩酌してしまっている自分がいるんですけどね。笑」

icon-caret-upヘルスチェックに参加した学生・ボランティアスタッフの集合写真

 


参考文献
1. 介護老人保健施設入所者の転倒予防介入効果検証~準ランダム化比較試験~.今岡 真和, 樋口 由美, 藤堂 恵美子, 北川 智美, 上田 哲也, 増栄 あゆみ, 寺島 由美子, 甲斐沼 成, 黒﨑 恭兵, 池内 まり.日本転倒予防学会誌.2015:1(3) 29-36
2. Low-frequency Exercise and Vitamin D Supplementation Reduce Falls Among Institutionalized Frail Elderly. Masakazu Imaoka, Yumi Higuchi, Emiko Todo, Tomomi Kitagawa, Tetsuya Ueda. International Journal of Gerontology. 2016:10(4) 202-206
3. Effect of Multicomponent Exercise and Nutrition Support on the Cognitive Function of Older Adults: A Randomized Controlled Trial. Masakazu Imaoka, Hidetoshi Nakao, Misa Nakamura, Fumie Tazaki, Motohiro Maebuchi, Masahisa Ibuki, Masatoshi Takeda. Clinical Interventions in Aging. 2019:14 2145–2153
4. 産官学連携による認知症予防ボランティア養成講座の成果と課題.今岡真和,田崎史江,中尾英俊,畑中良太,中村美砂,亀井一郎.大阪河﨑リハビリテーション大学紀要.2019:13 3-13

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日本体育大学スポーツキュアセンター

選手の競技パフォーマンスを支える
機種モデル:InBody770


日本体育大学の横浜・健志台キャンパス内にあるスポーツキュアセンター横浜・健志台接骨院(以下、Sport Cure Center; SCC)は、2015年に保健医療学部附属の臨床実習施設として開院されました。柔道整復師の資格を取得し、医療の立場からアスリートに貢献したいと考えている学生の臨床実習の場となっています。SCCには様々な評価機器・治療機器は勿論、競技復帰のためのトレーニングスペース・機器も備わっており、競技特性を考慮して怪我の再発を予防するトレーニング指導も行われています。横浜・健志台キャンパスでは、ラグビー、サッカーやレスリング、陸上、体操など様々な種目のクラブ活動が行われており、クラブに所属している学生の多くがキャンパス内や近隣にある寮で生活しています。SCCもキャンパス内にあるため、怪我をしてしまった学生はすぐに専門家による適切な応急手当を受けることができます。そして治療から、競技復帰までのアスレティックリハビリテーション、再発予防までのトータルサポートを地域密着型ならぬアスリート密着型として提供しています。また、近隣の住民向けに「腰痛さようなら体操」「めざせ!トップアスリート」などの公開講座も定期的に開催することで、これまでアスリートの治療で培ってきた知識や技術を地域社会に還元すると共に、臨床実習施設としての役割も充実させています。


接骨院の開院前からの携わり


SCCの院長である伊藤譲先生は、日本体育大学保健医療学部整復医療学科の教授でもあります。伊藤先生は鍼灸師免許取得後、鍼灸学の修士課程を修め、卒業後には鍼灸院開業へと進路を考えていました。しかし、はりやきゅうは一般的に痛い・怖いという印象が強く、鍼灸治療の経験がない患者が自発的に鍼灸院に来院することはほとんどありません。そのため、手技・物理療法などの施術も選択できる鍼灸接骨院での開業を目指し、柔道整復師の国家資格を取得しましたが、恩師の誘いにより教員の道を選択しました。その後、大阪医科大学大学院医学研究科で博士課程を修め、柔道整復師を養成する大学で教鞭を執り、2014年4月に開設された日本体育大学保健医療学部の教授に就任しました。翌年10月には臨床実習施設となる接骨院を開院することになり、先生は施設の図面・名称の提案から、導入する評価・医療機器の選定まで携わりました。伊藤先生は資格マニアと言われるくらい様々な資格を保有しており、柔道整復師の他に、はり師・きゅう師・JSPO公認アスレティックトレーナー(JSPO-AT)・JATI認定トレーニング指導者(JATI-ATI)・健康運動指導士などの資格を取得しています。

「一般的に資格はスキルの証です。私は現在、柔道整復師、JSPO-ATとJATI-ATIを養成する学科の教員ですので、これら以外の資格を取得して新しく何かを始めるということはありません。勿論、知識や技術は習得できますが、私は資格の特性や勉強法を学生さんにアドバイスすることを目的として資格を取っています。今後も時間の許す限り、スポーツや健康に関する資格を取得しようと思います。だんだん年をとってきたので資格取得の勉強は頭のトレーニングにもなります。」


採択された信頼性のある評価機器

「SCCでは、患者さんが施術を受けて良かったと、施術の効果を実感してもらうことを重要視しています。そのためには患者さんの身体から得られる情報を数値化する必要があります。根拠に基づく柔道整復術(Evidence based Judo therapy; EBJT)を推進するためにも、測定値が信頼できる評価機器を導入しています。」

SCCには、軟部組織の硬さを評価できるエラストグラフィー機能を持った超音波観察装置や、筋力測定器・足底圧測定器・重心動揺計・筋電計・姿勢測定器・骨密度測定器・AGEs測定器など十分な評価機器が置かれており、InBody770も開院時から導入されています。
「BIA機器はメーカーによって体成分の算出に使用している公式が異なるので、同じ測定者を測定した場合でも体成分の結果に差が生じてしまいます。そのため、同じメーカーで測定した結果同士でない限り、比較や変化の追跡が難しくなります。また、BIA機器によっては年齢・性別・人種・アスリートなどの統計的な情報によって、体成分の結果を補正してしまいますが、InBodyは身長・体重・インピーダンスのみで測定値を算出しているため結果が補正されません。」

伊藤先生は以前の上司がBIA法による体成分の研究に取り組んでいたこともあり、BIA機器に精通していました。そのため、周りの施設やスポーツ業界に導入されているBIA機器の普及度とレファランスに基づいた精度を考慮した結果、最終的にInBodyを採択しました。また、2005年から同キャンパス内のスポーツトレーニングセンターに、InBodyが導入されていたことも決め手の1つになりました。


怪我から競技復帰までのサポート

怪我により手術をしたアスリートは医師と連携をとりながら、SCCでリハビリテーションを受けています。その中には毎日来院されるアスリートも多く、アスリートにとって信頼できる施設であることが伝わってきます。InBodyはリハビリテーションにおいて回復状態の評価に活用されており、主に次の2つのことを確認しています。

① 負傷部位における筋肉量と質の回復状態
リハビリテーションを始めて負傷部位や身体を動かすことができるようになると、筋肉は段々引き締まって負傷前の状態まで回復してきます。負傷部位の筋肉量や筋肉の質を示す細胞外水分比などを参考にその変化を確認します。細胞外水分比の基準値は0.380(標準範囲:0.360~0.400)ですが、アスリートは筋肉が引き締まった状態なので、普段からこの数値を下回っていることが多いです。逆に、長期のオフ期間や負傷部位では細胞外水分比の数値が上がり、筋肉の質が低下していることを反映します。

icon-caret-down 野球部所属 右脚前十字靭帯損傷のケース
右脚筋肉量が増えて細胞外水分比が減少した結果から、右脚筋肉が段々引き締まる変化を確認できます。

※履歴グラフは取材を基に再現したイメージグラフです。

②四肢における左右筋肉量のバランス
従来のリハビリテーションは負傷部位を中心に行われてきたため、反対部位よりも筋力が強くなったり、競技とは関係のない筋肉が増えてしまったりする恐れがありました。筋肉量・筋力が左右どちらかに偏って増えるトレーニングを行わないために、筋肉量の左右バランスを確認します。

icon-caret-down 野球部所属 右脚前十字靭帯損傷のケース
左右の筋肉量に3%以上の差があり、やや不均衡な状態となっています。


※棒グラフは取材を基に再現したイメージグラフです。


自立したコンディションの管理

体重別で階級が分かれる、ウエイト制のアスリートの中には、InBody測定を目的に来院するアスリートもいます。
「アスリートは試合に向けて、コンディショニングの1つとしてInBodyを測定しに来ます。競技レベルの高いアスリートは総じてコンディショニングの達人です。継続して定期的に測定するだけではなく、調子の良いときや悪いときに測定することで、自覚的な調子をInBodyの数値で確認します。このように利用することで、更にセルフコンディショニングの精度が向上します。施術だけではなく、身体の評価を目的に来院するほど、InBodyを含めた評価機器はアスリートから信頼されています。現在は、ウエイト管理が厳しいアスリートが測定していますが、本来なら全アスリートがコンディショニングの1つとして評価する必要があります。」

icon-caret-down レスリング部所属 ウエイトコントロール活用のケース
体重77kg及び体脂肪率10%前後のコンディションを維持できています。

※履歴グラフは取材を基に再現したイメージグラフです。

最近は、部活の監督・コーチがアスリートのコンディションを把握するため、部活単位でアスリートを測定する機会が増えてきました。InBodyは体成分結果の履歴を残すことができるので、過去と現在の状態をモニタリングできます。


大学構内にあるSCCの存在意義


SCCの開院前、アスリートは怪我の治療やコンディショニングのために、練習後の限られた時間を使って近隣の治療施設に通わなければなりませんでした。しかし、キャンパス内にSCCが開院した現在では、通院のための時間を費やすことなく、損傷の程度を問わず、身体の不調や練習前のテーピングなども含めた処置を専門家から受けることができます。また、骨折や脱臼といった大きな怪我も適切な応急手当を行い、患者の希望を前提に損傷部位などに応じた医療機関を紹介しています。
「SCCには、スポーツによる怪我で悩んだ経験から柔道整復師の道に進んだスタッフが大勢います。そのため、彼らは怪我から復帰まで身体のトータルサポートだけではなく、アスリートに寄り添いながら、怪我に伴うメンタルの状態を理解することができます。」

更に、2020年4月からは保健医療学部に、新たな博士課程(保健医療学研究科運動器柔道整復学専攻)が新設されます。
「これまでも整復医療学科及び大学院修士課程保健医療学研究科(高度実践柔道整復師コース)の臨床研究施設としての役割を担ってきましたが、これからもInBodyを含めた評価機器を用いて柔道整復術に対する客観的な評価を実施していきます。その積み重ねが根拠に基づく柔道整復術(EBJT)につながり、接骨院全体における治療レベルの水準が高まることを期待します。そして、SCCには多数の評価機器が導入されているので、近隣の接骨院に通う患者さんの評価だけを担う機能、すなわち近隣の接骨院から評価の依頼を受けて評価結果をお返しするといういわば検査機関としての機能をもたせることで、施設同士の交流・協力関係を構築していきたいと考えています。」

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JTマーヴェラス

測定の習慣化によるメリット
機種モデル:InBody470


©2020 JTマーヴェラス

icon-caret-up2019-20 V.LEAGUE DIVISION1 優勝


JTマーヴェラスは兵庫県と大阪府にホームタウンを持ち、バレーボールV.LEAGUEで活躍するJTの女子バレーボールチームです。1956年に設立され、黒鷲旗で優勝5回と準優勝5回、現リーグの前身であるV・プレミアリーグで優勝1回と準優勝3回、現在のリーグであるV.LEAGUE DIVISION1では2019-20シーズン優勝など、何度もタイトルを獲得している強豪チームです。また、JTマーヴェラスから3名の選手が2020年度バレーボール女子日本代表チームに選出されており、東京オリンピックでの代表入りも期待されています。


実業団トレーナーとしての30年間の道のり

icon-caret-up 上村宗男トレーナー

JTマーヴェラスの上村宗男トレーナーは、選手の治療と体のケアを管理するメディカルトレーナーです。JTマーヴェラスに赴任して7年目になりますが、赴任前はハンドボール部や陸上部などの他競技でも実業団トレーナーとしての実績があり、これらの経験をトータルすると実業団スポーツチームで30年間も勤務しているベテランのトレーナーです。学生時代に陸上の短距離選手だったことから、自然とトレーナーの道に進みました。日本体育大学へ進学して専門知識を学びましたが、上村トレーナーが大学を卒業された当時は、まだ ”トレーナー” という職業が日本で定着していない時代でした。最初は選手をケアするためのトレーニングルーム自体の設置やストレッチを指導することから始めました。上村トレーナーは、日本におけるトレーナーという仕事の礎作りとその普及に携わってきたひとりであると言えます。トレーナーという肩書の中には、柔道整復師・はり師・きゅう師・アスレチックトレーナー・上級トレーニング指導者(JATI-AATI)など様々な資格が含まれています。


女子バレーボール選手のコンディショニング管理法

上村トレーナーがJTマーヴェラスに赴任したことが、チームにInBodyを導入するきっかけとなりました。InBody無しでコンディショニングを行うことになると、体重のみでの指導となります。特に、女子選手では体重に関してあまりに厳しく管理してしまうと、拒食症・過食症・ホルモンバランス異常・精神的ダメージなどの原因となり、体調のコントロールが出来なくなってしまうという不安もあります。上村トレーナーがチームに働きかけたことで、2013年にInBody430が、2018年にInBody470が導入されました。

選手は毎朝InBodyで体成分を測定して体調チェックを行います。InBody測定の他に、血圧・体温・ヘモグロビン推定値(貧血指標)を測定・記録していきます。これらのデータは、選手とトレーナーだけでなく監督・栄養士・S&Cコーチらにも共有されます。選手はInBodyのデータを各自のスマートフォンからでも、InBodyアプリを通して確認することができます。

「在籍しているほとんどの選手が、自主的にInBodyを測定しています。女子バレーは6月から9月がトレーニング期、10月から4月がリーグ戦やカップ戦、5月がオフシーズンという1年間を過ごしますが、1年中を通して体成分を安定させている選手もいます。勿論、一部の選手や新人選手は体成分の変動を経験していますが、リーグ戦の開幕時期の10月には体成分の状態も最も良い状態に合わせてきます。毎日測定しているからこそ、選手自身もどのような体成分がベストパフォーマンスを発揮できるのか、自分に合った状態であるのかを擦り合わせていくことができます。」


怪我とInBodyの関連性

「1日単位の僅かな変化では気づきにくい点も、1年間や数年間分でデータ全体の推移を見渡すと、怪我が原因となった不調な期間が、体成分の明らかな違いとして目に見えてくることがあります。ある選手は膝の手術がきっかけで、体成分が別人のように大きく変わったことがあります。リハビリから復帰に向けての約半年で、体脂肪量が大きく増加する形で体重が約10kgも増加してしまいました。手術の影響で運動量が減ってしまったことも要因でした。筋肉でなく体脂肪の増加で体重が増えてしまうと、プレーにキレがなくなるなどパフォーマンスにも支障が出てしまいます。彼女は手術とリハビリを乗り越えて、崩れてしまった体成分を約5年間かけて徐々に戻していきました。」

※履歴グラフは取材を基に再現したイメージグラフです。

「スポーツには怪我が付き物です。中には手術を経験してリハビリが必要な選手や、毎日体のケアが必要な選手もいます。今後はInBodyの部位別筋肉量や筋肉均衡のデータから怪我の状態やリハビリの効果を確認し、体成分が変化するタイミングから治療や完全復帰の目安を検討する形の活用も考えています。部位別筋肉量の左右の違いを追っていけば、怪我の状態も見れると感じています。」


プロバレーボール選手の体成分

バレーボール選手といえば、高身長でスラリとした体型を連想しますが、実際の体成分はどういう特徴があるのでしょうか?  一般女性と、JTマーヴェラス、セルビア女子代表(国際大会メダル常連の強豪チーム)の体成分を比較してみましょう。


一般人と比べてみると、身長だけでも15cm-30cm高いことが分かります。身長が高い分、体重と骨格筋量(筋肉量)が多いことは勿論ですが、体脂肪量が少ないことには驚きです。体脂肪率は骨格筋量(筋肉量)が増えると相対的に低くなるため、体脂肪率が低いことは想定されますが、プロバレーボール選手は体脂肪量そのものの重さ自体も少ないことが特徴です。体脂肪量が少ない状態で骨格筋量を増やすことで、驚異的なジャンプ力が発揮できるのかもしれません。

※一般女性のデータは「InBody臨床DB」、セルビア女子代表のデータは「Descriptive Body Composition Profile in Female Olympic Volleyball Medalists Defined Using Multichannel Bioimpedance Measurement Rio 2016 Team Case Study」より引用・改変


選手とトレーナーの信頼関係

2名の選手にも、InBodyと上村トレーナーのお話を伺いました。セッターの柴田真果選手は、JTマーヴェラスに入団して3年目(競技歴17年)の選手です。InBodyを活用したコンディショニングの成功事例について聞くことができました。

【セッター 柴田真果選手  icon-caret-right 】
「 ”体脂肪量を落とす” という体成分の目標を掲げて、トレーニングをした時期がありました。そこから1年半かけて体重を7kg落とすことができて、今でもその状態をキープできています。筋肉量も少し落ちてしまいましたが、体脂肪量を中心に落とすことができました。ちょうど怪我をしていて、この間の6ヶ月間はトレーニングをメインにしていた時期でもありました。栄養面では三食の食事量は変えずに、間食での甘いものを控えるようにしました。主にバイクでの有酸素運動を行って、体脂肪量を落としていきました。今ではInBodyアプリで1ヶ月単位、1週間単位、毎日でも自分の体がどうなっているのか体成分履歴で目に見えてわかるので、更にコンディション管理がしやすくなりました。」

「上村トレーナーはとてもマメな方で、選手全員の結果を一括で管理されています。体成分の変化も何日前はどうだったか、数年前のこの時期はどうだったかという情報まで教えてくれます。朝は練習前のテーピングで誰よりも早く体育館に来てくれて、帰りも練習後のマッサージやケアをしてもらっているので一番遅いです。負担を掛けてしまっていると感じますが、毎日毎日本当にありがたいです。」

二人目の選手はJTマーヴェラス6年目(競技歴17年)の、アウトサイドヒッター田中瑞稀選手です。田中選手は高校卒業後からチームに所属し、InBodyの使用歴も長い選手です。

【アウトサイドヒッター 田中瑞稀選手 icon-caret-right
「どのようなトレーニングを行えば骨格筋量が維持できる、これだけの食事量を取ってしまうと2日後には体脂肪量がどれだけ上がってしまうなどの感覚が身に付いてきました。体脂肪率が20%以上で体重が重い時期では、体が動かないという訳ではなかったのですが、プレーのキレが今一つでした。筋肉量は52kg以上、体脂肪率は18%以下にすると良いコンディションで動きやすいので、この数値を目安に維持するようにしています。」

「上村トレーナーは体の細かいところまで気づいてくれます。筋肉のことだけでなく、女性アスリートの問題や生活面のインナーケア、精神面までもトータルでしっかりサポートしてくれます。上村トレーナーの人柄もあって、新人の選手もすぐに打ち解けていますし、選手との壁はまったくありません。」

上村トレーナーの話題になると、お二人ともこれまで以上にない笑顔で話される姿がとても印象的でした。チームスポーツにおいて、チームメイト間の信頼関係が重要なことは勿論ですが、選手と監督・コーチ・栄養士・トレーナーなどチームスタッフ間との信頼関係も必要です。選手と上村トレーナーの信頼関係は、JTマーヴェラスが強豪チームであることの一要因でもあります。InBodyはコンディショニングツールの一つとして、選手とトレーナー間の橋渡し、信頼関係構築の一助も担っています。


終わりに

「日本代表に選ばれている選手も3名いますが、ナショナルチームに入ると試合ばかりで調整が難しく、体調やコンディションがどうしても落ちてしまいます。選手たちには勿論頑張ってほしいですが、JTマーヴェラスのメディカルトレーナーとしては彼女たちの体調がどうしても心配になります。プレー中に怪我を負うこともなく、無事チームに戻ってきて欲しいです。2019-20 V.リーグ、チームは優勝しましたが、これで終わりではありません。気を緩めることなく、連覇を狙っていきます。」

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相愛大学

留学生のための食育プロジェクト
機種モデル:InBody470

相愛大学人間発達学部発達栄養学科では、基礎と現場経験の両方を重視したカリキュラムのもと、企業や医療機関、官公庁と連携して様々な食育事業に取り組んでいます。 “留学生のための食育プロジェクト” はその中の1つで、相愛大学や近隣に所在する日本語学校の留学生を対象に、InBody測定と骨密度測定による栄養状態のチェック、和食メニューの調理実習が行われています。学内の食堂で留学生の食事を覗いてみると、日本に暮らしているにもかかわらず和食ではない独自で調理したものを食べている姿が多く見られます。その彼らに和食を知ってもらい、日本の食の良さを伝えたいという気持ちと、日本を訪れる外国人・留学生が増えてきた中で、何かしらの支援を大学で企画して欲しいという声もあったことから、“留学生のための食育プロジェクト” が発足することになりました。

発達栄養学科准教授の竹山育子先生は、かつては開業栄養士として病院・クリニック・自治体の健康料理教室など様々な現場で臨床栄養を担当していました。現在の主な研究テーマも “血液透析患者のQOL向上” で、厳しい食事管理が求められている中でも楽しい食事を取り入れることを目指しています。竹山先生は大学教員の他に、透析クリニックの臨床現場の管理栄養士という顔を合わせ持ち、クリニックでもInBodyを使い患者の水分状態を見て食事介入を行っています。厚生労働省の “大腸がん予防プロジェクト” では食事調査を担当し、10年にわたり1人当たり4年間の食事内容を追跡、約600人分の膨大なデータを分析しました。食事内容をデータに起こす作業は技術が必要で、食事メニュー全てをグラム(g)単位に捉え直し、味付けや調味料まで数値としてデータ化していきます。教員という道を選んだ背景には、残りの栄養士人生はこのような経験を伝え、次世代を育てたいという想いがあります。


icon-caret-up 竹山育子先生


食育や栄養士にとってInBodyは必須

「以前は1人の体脂肪率を求めるだけでも、多くの時間と手間が必要でした。InBodyでは体脂肪率を瞬時に求めることができ、他にも体を構成している主な成分が詳細に分かることで大変救われています。特に透析患者の場合、水分状態を確認することができて大変ありがたいです。水分量を基に塩分量を1g単位で細かく調整しています。また、栄養士は基礎代謝量を求める機会が多いのですが、そこでもInBodyが便利です。ダイエットに苦労している方へ基礎代謝量の説明をすると、基礎代謝量が低いから太りやすい、痩せにくいんだと納得してくれます。」

このように、竹山先生は臨床栄養の現場ではInBodyが必須だと言います。発達栄養学科の学生は、運動生理学実習と臨床栄養学実習の授業でInBodyについて詳しく学びます。半期で15回もの測定を行うので、InBodyの扱いにも慣れており、食育プロジェクトや管理栄養士としての現場でもすぐに活用してくれています。留学生のための食育プロジェクトではもちろんのこと、その他の食育プロジェクトでも全てInBodyの体成分測定がセットになっています。大阪急性期・総合医療センターとのコラボで行っている糖尿病フェスタでは、体重の変化ではなく、筋肉量と体脂肪量の増減から健康改善ができているかを読み取れるようになり、相愛大学主催のヘルシーダイエット教室では、筋肉量と体脂肪量のバランスを示すIDCタイプを確認して栄養介入を行うことで、生活習慣を改善するきっかけとなっています。

「InBodyの結果用紙から測定者の背景、生活習慣までイメージできることもあります。留学生の食育プロジェクトでは、ベトナム出身の僧侶の方でとても筋肉量が多い方がいました。何か特別なことをやっているのか尋ねてみると、通学だけでなく普段からたくさん歩いていることが分かりました。InBodyでは部位毎で筋肉量と体脂肪量の評価も行えるので、ここを見るだけで下半身が強い方はサッカー選手であるとか、左右差が大きい方はテニスの経験者であるなどのスポーツ歴も見え、体脂肪量の付き具合によって、脂っこいものを好んで多く食べているなどの食事の好みまでイメージができます。」


留学生のための食育プロジェクト


 icon-caret-up まずは、参加留学生がInBodyでチェック

食育プロジェクトでは、始めにInBody測定と骨密度測定から行います。留学生にとってもInBody測定は好評で、皆が自身の体を理解することに興味を持っていました。

中国からの男子留学生「中国でもInBodyで測っていました。結果を見て、もっと太らなければと思うのですが、なかなか太れないことに悩んでいます。体成分分析から、タンパク質とミネラル量を増やそうと食事を頑張っていましたが、体脂肪量を増やす必要があるとはあまり考えていませんでした。毎日1時間ほどランニングをしていますが、運動と食事の両方をもっと頑張ろうと思います。」

次に、和食(サラダ巻き・けんちん汁・ごま和え)の調理実習に移ります。留学生1グループにつき発達栄養学科の学生が2名ずつサポートとして付きます。1年生を中心として配置することで、学生の学びの場ともなっています。留学生は初めて見る日本の食材や調理器具に目を輝かせつつ、慣れない和食の調理に真剣にチャレンジ。栄養学科の学生は初めて和食を調理する留学生に対して、材料の切り方や調理手順など身振り手振りを交えながら、協力します。最初は初対面でぎこちなかったそれぞれのグループが、調理が進むにつれて会話が弾み、笑い声が調理室に響くようになっていきました。実習後には調理グループ毎にテーブルを囲んで、自分たちで調理した和食を実食しながら、発達栄養学科学生による日本文化と食育に関する発表、さらに竹山先生によるInBody結果用紙の解釈について講義を聞くことができます。中国・インドネシア・ベトナム・香港・カナダそして日本の学生が一緒になって、課題に取り組みながら栄養について学んでいきます。


icon-caret-up 和気あいあいと和食調理を実習中(エプロン姿が留学生、白衣姿が発達栄養学科学生)

インドネシアからの女子留学生「和食が好きで、実は家でもお寿司を作っています。ランゲージスクールに通っていますが、そこでプロジェクトのチラシを貰って、興味があったので参加しました。今日の実習はとても楽しく上手に作ることが出来て良かったです。」

発達栄養学科留学生「私自身が中国の出身なので中国の留学生を担当しましたが、食材を切るにもいろんな切り方があり、それを言葉で伝えるのが難しいので、実際に切って見せて教えました。将来は管理栄養士の資格を取って日本で働くことを夢見ています。」

発達栄養学科1年生「短い時間の中で、複数の留学生に対して同時進行でたくさんの工程を教えるのに苦労しましたが、皆で和気あいあいと作ることができました。卒業後は教育現場の栄養教諭を希望しており、教えることを大事にしていきたいです。」


食育プロジェクトを通して見えた留学生の栄養と体の現状


icon-caret-up レクチャーを聞く姿も真剣そのもの

プロジェクトに参加していた留学生には肥満の方はいませんでしたが、BMI18(標準範囲:18.5-25.0)、体脂肪率5%(標準範囲:男性10-20%;女性18-28%)などの痩せ気味の学生が見受けられました。和食で使われている調味料が分からないため自炊が難しく、口にしたことがない食材は買わないという食生活のスタイルからか、栄養改善が必要な学生もいます。留学生にとって体成分を測る機会が殆どありませんが、InBody測定を通し、自身の筋肉量・体脂肪量が実際にどれだけ足りていないか、適正体重に入るためにはどれだけ各成分が必要なのかを知ってもらうことができました。

竹山先生「留学生だけでなく、体脂肪率が何を指しているのかを知らない方が未だに多いことも驚きです。InBodyの結果用紙を上から順に説明することで、体脂肪率が体重全体の重さに対する体脂肪量の割合であるということの理解を助けます。今回のプロジェクトでは1回きりのInBody測定なので現状を伝えることしかできません。留学生に対して栄養介入や生活習慣指導を行うには、InBodyの定期測定が必要になります。」


終わりに

「留学生は言葉の壁もある中、日本で学んだことを自国で活かしたい、日本で就職したいという気持ちを持って、修学中はもちろん卒業後も頑張ってくれています。近年では管理栄養士・栄養士を目指す留学生も増えてきました。中国からの留学生の教え子で、2018年の管理栄養士国家試験に合格し、本学の管理栄養士留学生第1号として活躍している子もいて、彼女のことを聞くと本当に嬉しい限りです。栄養の専門用語はホルモンや薬剤などカタカナが多く、彼女もまたカタカナで苦労している姿をずっと見てきました。しかし、今では相愛大学で学んだことと日本語・中国語・英語で栄養指導ができる強みを活かして仕事に就いてくれています。」

国によっては管理栄養士という職や、食育という概念がない場合もあります。世界中で肥満や飢餓の問題が残存している今、日本で栄養学を学んだ留学生が母国に帰り、大学4年間で身に付けた栄養の知識が必要とされる時が必ずやってきます。

「管理栄養士に向いている人は、食べることが好きな人、美味しく食べようと工夫ができる人です。透析患者もそうですが、制約がある中でもできるだけ美味しいものを作ってあげたいと考えています。発達栄養学科の留学生は、日本で学んだことプラス、自分の国の特性を活かした食育のできる管理栄養士になってほしいです。」

 

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NTTドコモ レッドハリケーンズ

ラグビー選手のコンディショニング
機種モデル:InBody470

NTTドコモラグビー部レッドハリケーンズは大阪・南港にホームグラウンドを持ち、ジャパンラグビートップリーグで活躍するラグビーチームです。1994年に創設され、ラグビー日本代表経験のある選手も在籍しています。2018-2019シーズンでは2部相当のトップチャレンジリーグを1位で終え、2019年からは1部相当のジャパンラグビートップリーグに戦いの場を移しています。間もなく開催される、 ”ラグビーワールドカップ2019日本大会” に出場するラグビー日本代表メンバーも1名所属しており、1部での上位進出を目標に日々練習を重ねています。ラグビーはプロ選手とアマチュア選手が混在していることが多く、レッドハリケーンズの選手も日々、NTTドコモの社員として通常業務を行いながら、練習に打ち込んでいます。


レッドハリケーンズとの出会い


NTTドコモレッドハリケーンズのS&C(ストレングス&コンディショニング)コーチを務める大川健太郎コーチは、選手のパフォーマンス向上のためのトレーニング立案と、コンディショニング管理を担当しています。大川コーチは、小~高校時代で野球に打ち込み、ピッチャーとして肩の怪我を何度も経験していました。自身の怪我と向き合う中で、身体を鍛えることやコンディショニングに興味を持つようになり、トレーナーの道に進むことになりました。専門学校でコーチングやコンディショニングについて学んだ後は、フィットネスクラブのスタッフとして2年、京都の龍谷大学にて大学体育会のアシスタントS&Cコーチを1年、更に森永製菓のウイダートレーニングラボにてジュニア選手からプロアスリート選手のS&Cコーチを2年務め、現職のNTTドコモレッドハリケーンズS&Cコーチに至り、今年で9年目となります。


体格の大きなラグビー選手のコンディショニング管理法

チームドクターの薦めからコンディショニング管理の一環としてInBodyが2013年に導入されました。それまでは体重とキャリパー法による皮下脂肪厚を測定し、選手のコンディションを確認していました。国内外に関わらず、ラグビー界では選手の体脂肪率をキャリパー法で算出することがとても多く、測定結果の比較対象が増えることから、チームでもキャリパー法をメインに扱っていました。選手の公式データとして測定する分にはキャリパー法も便利でしたが、キャリパー法は測定に時間と手間がかかることがデメリットで、普段のコンディショニング現場で使うには限界がありました。一方、InBodyは一人当たりの測定時間が短く、直ぐに全ての結果が出力されます。InBody導入後もキャリパー法での測定を並行して行っていますが、キャリパー法は他チーム選手との比較を目的に年5回程、InBodyは選手自身の変化をモニタリングする目的で週2回程と、それぞれ測定の目的が住み分けされています。
※皮下脂肪の厚さを測定し、体脂肪率を算出する測定方法。詳細はInBodyトピックの「体成分とは何でしょうか?」をご覧ください。

「InBodyの良いところは何よりも計測数値が出るのが早いことが一つ、そしてその数値がとても細かく出るところもいいと思います。それに加えて、結果用紙の下に測定結果のログ(履歴)が見れるのもいいですね。選手が見て分かりやすいということを優先しているので、一目で身体の変化が分かる点が嬉しいです。」

週2回測定の1回目は休み明けの月曜日に測定し、選手のコンディションを確認します。2回目は金曜日に測定し、月曜日~金曜日までの練習やトレーニングの成果を確認します。50名余りの選手を一斉に測定することから、今年の3月には新たにInBody470を2台導入しています。また、持ち運びにも適していることから遠征先や合宿先にもInBody470を持参し、選手の測定を行っています。InBodyの測定結果では導入当初から体重・体脂肪率・骨格筋量の3つの項目をメインに扱っており、チームのクラウドサービスに選手がこの数値を入力することで、コーチらとデータ共有されます。3つの項目に絞ることで、選手も自身のコンディションの変化に気づきやすくなります。コーチは入力された数値やパフォーマンスの数値を基に、トレーニングメニューの立案やコンディションの管理を行います。個人差やポジションの違いによって選手ごとの目標体重やアプローチが異なるため、チーム全体としてのメニューだけでなく、選手とコミュニケーションを取りながら個別指導も行います。

「ラグビーはサッカーとほぼ同じで前後半40分のプレー時間で構成されていますが、タックルやスクラムのように身体を大きく当てるプレーがあるため、サッカーよりも当然体重や筋肉量が必要になります。筋肉量を上げることで体重を増やすということが他のスポーツ以上に重要ですが、InBodyを導入してからはより具体的なトレーニングメニューを作ることができるようになり、どれくらい変化したのかも日々追えるようになりました。結果、選手のパフォーマンススコアも少しずつ良くなってきて、選手自身もそれを自覚できるようになったことはとても大きいです。1年で体重が3~4kg骨格筋量が2~4kg増えることを目標としているので、数値が足りない選手はメニューの修正や食事内容の変更ができるようにもなりました。これまでのキャリパー法では骨格筋量を測定することができなかったので、骨格筋量を実際に数値として追いながらトレーニングメニューを立案できるようになったことは非常に助かっています。」


ポジションによるコンディショニング管理の違い

ラグビーのポジションはフォワードとバックスの2つに大きく分かれます。ポジション毎の役割がはっきりしており、それによって体格や必要な筋肉量が異なることがラグビーの大きな特徴です。

フォワードは相手とのコンタクトやスクラムなど体をぶつけることプレーが多く、より大きな体重・体格が必要です。特にスクラムというプレーの最前線に立つフォワードの選手は、体重がどのポジションよりも大きくなります。体重を増やすために食事を多く取ることも大切ですが、体脂肪ばかりが増えないように、体脂肪率・骨格筋量を確認しながら、体重を落とさずに体脂肪を減らすことを目指していきます。バックスは力強い走りで得点を狙います。フォワードに比べると体格が小さくなりますが、特に小柄な選手は相手のフォワードと衝突する際、脳震とうを起こす危険性が高まります。力強い走りを維持しながら、怪我をしにくい身体づくりを目的に体重を増やしていきます。

レッドハリケーンズでは、選手の体脂肪率をフォワードは20%以下、バックスは15%以下、骨格筋量はフォワード・バックスともに50kg以上を目標にしています。

 icon-caret-right ラグビー選手(上) vs 一般男性(下)の体成分モデル


ラグビー選手の天敵、長期離脱

ラグビー選手の怪我は重症度が高く、長期離脱するケースもあります。運動ができない状態なので長期離脱中の体重はどんどん減少してしまいます。体重の大きいフォワードの選手では、1回の怪我で体重が6kg程減ってしまうこともあります。体重は減らすことは簡単ですが、増やすことは難しく、怪我の治療は勿論ですが、体重を戻すことも考えなくてはなりません。怪我の治療中も、動かせる健康な部位を維持するためのトレーニングは行いますが、怪我の内容によっては健康な部位のトレーニングを行うことすら難しい場合もあります。また選手によって体重の戻りが遅い選手もいるため、選手に合わせたリハビリメニューが必要です。InBodyの測定結果を用いると、リハビリの時に体重をどこまで、どうやって戻すか明確な目標を立てやすくなります。


InBodyをきっかけに生まれる一人ひとりの “プロ意識”


大川コーチは選手と話すとき、数値の話を出すようにしています。調子の良い時・悪い時で実際に数値はどう変化しているのか? それを選手自身が自分で把握することで自己管理能力も高くなります。InBodyの結果から、”目標体重を維持できている選手/目標体重ではあるけれど、体脂肪率が高く筋肉量が足りていない選手/筋肉量も足りず目標体重も足りていない選手” と選手全員の状態を常にトレーニングルームに貼りだしています。食事面に関しては、練習後の夕食はチーム専属の栄養士のサポートがありますが、1日3食の全てをチームで用意することは難しいため、選手自身で食事メニューを考える必要があります。体脂肪量を減らすために食事量を減らしてしまい、結果的に体重が落ちてしまう選手もいます。体重を減らさずに体脂肪量だけを減らすためには何を食べれば良いのか、どんな運動をすれば良いのか、選手自身で考えることがとても大切です。

「アスリートである以上、常に試合でハイパフォーマンスをしてチームに貢献していかなければならないので、自分の身体は自分で把握しなければいけないと常に話しています。私たちが希望する体重であっても、選手本人が思う一番動ける体重とは異なる時もあります。その部分では日頃のパフォーマンスを見て、選手とコーチですり合わせていく必要があります。InBodyを導入してからは、コンディション管理のための数値が明確に出てくるおかげで、選手自身のコンディション管理への意識が高まったと感じています。最近は選手からトレーニング内容についての希望を言ってくることも増えました。チームとしては週2回の測定を行っていますが、自発的に測定を行い、数値の変化を毎日確認している選手も出てくるようになりました。ラグビー選手は体重がとても大きいので、日々の体重変動が大きくなります。日によって1日で2~3kg変動する選手もいます。選手からもInBodyを導入して良かったという声をよく聞きます。また、昨年ヘッドコーチが変わり数値に厳しくなったことから、より一層身体づくりへの意識が高まったことも一因として挙げられます。」


終わりに

「選手が怪我なく1年過ごせることを毎年の目標としています。自分自身もそれをサポートできるS&Cコーチとして努力していかなければならないと思っています。それに伴って、チームが優勝、もしくは上位に食い込んで戦えるようなチームになってほしいです。トレーナーは、医者ではありませんが、人の身体を見るという点では同じで、手を抜くことができません。これからスポーツの現場でコーチやトレーナーを目指す人は、若い時から理論を勉強することは勿論ですが、何より現場で経験を積んでほしいと思います。学校で学ぶことだけでなく、トレーニングの実践や選手とのコミュニケーションなど、実体験しないと分からないことがたくさんあります。人と接する仕事なので特にコミュニケーションの取り方は大事です。そうしてチームが結果を出すことに繋がります。」

9/20(金)からラグビーワールドカップ2019がアジアで初めて日本で開催されます。前回のW杯で強豪南アフリカを破った “スポーツ史上最大の番狂わせ” から4年。日本代表が再び世界の強豪と激突します。前述の通り、レッドハリケーンズからは1名が日本代表として出場します。

「今の日本代表は上位と戦えるレベルだと思います(8/26現在、世界ランキング9位)。初の日本開催なので、2018年のサッカーワールドカップ以上の成績を見せて、ラグビーをもっと色んな人に知ってもらいたいです。そして、南半球の高い壁を打ち破ってほしい。レッドハリケーンズからも選手が参加しているので、彼の活躍も期待しています。また、ワールドカップ終了後、年明けからはレギュラーシーズンも始まります。昨年1部に昇格したので、今年は勝負の年になります。シーズンが始まるまでの数ヶ月、1日1日を自分のために大切にして、丈夫な身体を作って試合に臨んでほしいです。」


©2019 NTT DOCOMO RedHurricanes

ツクイ

要介護高齢者向けの機能訓練の尺度
機種モデル:ITO-InBody370

株式会社ツクイは1983年から介護に関わるさまざまなサービスを発信・提供している企業です。デイサービス事業、住まい事業(有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅・グループホーム)、在宅事業、人材事業、リース事業等さまざまな事業を展開しています。そして、デイサービスの事業所数は全国に500ヵ所以上、46,000名以上の利用者を支える、介護業界トップクラスの地位を確立しています。


機能訓練の動機づけ

デイサービスにおける介護サービスの一環として、理学療法士などの機能訓練指導員による機能訓練が行われています。機能訓練とは身体機能や生活機能の維持・向上を目的として行われるもので、ツクイでは心身機能面だけでなく、日常生活活動、社会参加や家庭内での役割なども評価しながら、個別機能訓練のプログラムを提供しています。

サービス管理部所属の波戸真之介さんは、機能訓練の内容や全国の指導員のマネジメントを担当しています。波戸さんは大学で理学療法士の資格を取得し、大学院で地域や高齢者に関わる理学療法を専門に学びながら大学病院のリハビリテーション室で理学療法士として1年間働き、その後2011年に株式会社ツクイに就職しました。入社後は機能訓練指導員としてデイサービスの現場や西日本のデイサービスの機能訓練に関わる管理運営等を経験し、2017年4月からサービス管理部の所属として、会社全体の機能訓練に関するマネジメントの業務に従事しています。

「デイサービスに通う方は原則要介護・要支援の方で、生活を送る中で何かしらの課題を抱えている、機能訓練が必要な方たちです。ITO-InBody370は、その方たちが機能訓練を始める動機づけとして活用しています。」
※ITO-InBody370は、インボディ社がODM製品として伊藤超短波株式会社に提供している体成分分析装置です。


介護施設に適したITO-InBody370

ITO-InBody370が導入される前から、体力測定、FIMや認知機能検査などを用いて機能訓練に関わる評価をしていましたが、5年程前に機能訓練のために筋力トレーニングマシンの導入が進んだのと同時に、その機能訓練の変化や成果を見るための体成分分析装置の導入が検討されました。当初は横になった状態で測定できるタイプの他社製品も候補として挙がりましたが、手足に電極を付着する手間がかかり、現場で使用するには適さないという点でITO-InBody370の導入が進みました。

「介護現場では、評価にかけられる時間に限りがあります。また、現場としても、評価のための時間をつくるよりも機能訓練の介入に時間をかけたいという思いがあります。株式会社として、費用対効果に関しては他社製品とも比較してシビアに検討しましたが、測定の手間やフィードバックのしやすさ、コスト面などを総合的に考慮しInBodyを導入することになりました。」

InBodyの導入前はデモ機で、測定可能な対象者・測定対象人数・再現性・実際の活用についてなどを検証しました。ITO-InBody370は立位姿勢を45秒間維持するだけで測定が完了するため、介護の現場でも十分活用でき、運用費は結果用紙のみでランニングコストもかかりません。現在では、エリア内の複数事業所で1台のInBodyを共有使用することが多く、全国で計77台が稼働しています。


機能訓練の評価について

機能訓練の成果を評価するためにITO-InBody370による3ヶ月から6ヶ月間程度での定期的な測定が行われています。測定は機能訓練指導員や介護スタッフによって行われ、結果の説明・解釈は機能訓練指導員によって本人や家族に伝えられます。InBody測定は家族からの反響も良く、デイサービスで取り組んでいることに興味を持ってもらうきっかけになっています。また、デイサービスに通う要介護・要支援高齢者は通所サービスだけでなく、訪問介護など様々なサービスを使用しており、介護サービスを必要とする高齢者と介護サービス事業所を繋ぐ調整役のケアマネージャーにも結果は情報共有されます。

主に結果用紙の部位別筋肉量の下半身や左右差を評価しています。歩行量が少なく身体活動量が低下してくると、健常高齢者と比較して、部位別筋肉バランス項目の下半身筋肉量の少なさが目立ってきます。本人にも測定結果を見てもらい、身体活動量の向上を意識してもらうように結果を活用しています。

過去の骨折などによる怪我が原因で筋肉量に左右差が表れる方もいます。例えば、右大腿骨の骨折をしたことがある方は、右脚の筋肉量が左脚に比べて少なくなり、身体バランスチェック項目の下半身バランスにおいて「やや不均衡」チェックが入ってしまいます。この場合、筋肉量が少ない部位の右脚筋肉量を増やすための筋トレを機能訓練で行います。

他には体格指標も評価しています。要介護高齢者の中には体脂肪量を減らさないと日常生活動作が自立しづらい方もおり、その場合は運動だけでなく、栄養面にも考慮してもらう意識づけとして活用しています。

また、筋肉量のみ増やす機能訓練を実施しても、筋肉を使うための調整力がないと日常生活動作には繋がりません。そのため、筋力・歩行・バランスに関する体力測定を実施し、ツクイ独自のレーダーチャートで体力に対するフィードバックも行っています。


成果が見えるデイサービス

近年、デイサービスは高齢者が通って世話を受けるだけの場所という認識ではなく、提供されるサービスの品質や成果を求める人が増加しています。また、2018年4月にADL維持等加算という、ADLの維持・改善に繋がった利用者が多いデイサービスの報酬を引き上げる加算制度が創設され、国全体で介護分野のサービス向上を掲げています。

「ITO-InBody370が導入されたことにより、機能訓練による筋肉量増加の効果が見えやすくなり、指導員側にとっても指導しやすくなりました。また、InBody測定を提供可能サービスとして新規開設事業所のパンフレットに載せており、デイサービスのアピールポイントの1つになっています。国でもADL維持等加算のようなアウトカム評価を新設し始めており、デイサービスに対して何かしらの成果を求めるようになってきました。このような流れもあり、引き続き“成果が見える機能訓練”を提供する介護サービスを目指していきたいと考えています。」

ツインデンタルクリニック

歯科分野における保健指導の重要性
機種モデル:InBody370

ツインデンタルクリニック院長の呉沢哲先生は、2017年よりPOPS研究会(Perpetual Oral Physical Salutogenesis:永続的な口腔と全身の健康増進) を立ち上げ、保健指導をする歯科医院の普及により、国民の健康増進やフレイル予防を広めようと活動している第一人者です。また、2016年10月号に出版された臨床歯科分野の月刊誌ザ・クインテッセンスの「歯科医院で保健指導を! 体成分分析装置(InBody)の活用術」や日本顎咬合学会誌の「体組成分と歯数の相関性の考察インピーダンス式体組成分器を用いて」の著者でもあります。


呉沢哲先生は1997年に大阪大学歯学部を卒業し、同年の4月から医療法人新生会への勤務を経て、2010年にツインデンタルクリニックを開業しました。クリニックは “歯科医療” と “保健指導” の2本柱から、口腔と全身の健康を支えることに焦点を当てている数少ない施設の1つです。呉沢哲先生は訪問診療や高齢者の要介護の現場で患者と接した経験から、外来患者に対して病気や要介護にならないために、健康啓発を行っていくことの重要性を感じ、これが体成分分析装置InBodyと出会うきっかけとなりました。当初、歯科の現場でInBodyを中心とした保健指導の必要性を患者に伝えることは容易ではありませんでしたが、今では患者の定期健診来院の強化と口腔と全身の健康を改善するアプローチとして、重要な戦略の1つとなっています。


保健指導のきっかけになるInBody測定

「体成分で一番重要なことはバランスです。InBodyのデータでは、体重・筋肉・体脂肪の量的バランス、部位別筋肉のバランス、BMIと体脂肪率をもとにした体型バランスが適正かどうか、一目で分かります。このようなInBodyデータの可視化的特徴を生かすことで、日々の食事や運動に対する目標を明確化できるようになりました。」

クリニックでは、実際に保健指導を本格導入する1年前から、InBodyの数字の読み方や、食事と運動の基礎的なことを少しずつスタッフと学びました。導入後は基本的に定期健診ごとに患者へInBodyの案内をして、希望者に無料で計測を行っています。また、問診票の末尾にInBody測定の希望有無の欄を設けて、初診患者の認知度が高まる工夫も行っています。


患者の反応とCASE STUDY

患者はInBodyで可視化されたデータが動機づけとなり、生活習慣を見直すきっかけを持つこととなります。
「InBody計測後の患者の反応はまちまちですが、少なくとも定期健診時のInBody計測は患者自身の健康と向き合う機会になっていることは間違いありません。いったん計測に対する関心が生まれると、定期健診ごとに患者自ら計測をリクエストすることも少なくありません。保健指導の中で、体調が改善できた方から直接お礼の手紙をいただくこともありました。」
次に実際にクリニックで計測した3名のCASEを紹介します。

CASE1:InBody測定をきっかけに体成分のコントロールに成功している49歳男性

CASE2:もともと健康志向で体成分を見事にデザイン・維持している56歳男性

CASE3:生活習慣が安定しない32歳女性


InBodyを取り入れたことにより高まる定期健診受診率

InBodyの長所は客観的に健康度を数値化できる点です。今の自分の健康度を可視化することで、近い将来のなりたい自分の健康度に対する数値目標がイメージしやすくなります。患者は次の健診までに何らかの行動変容(ウォーキング、食事制限など)を行うと、InBody計測が非常に楽しみになり、次の健診に足を運びやすくなります。また、体質改善にはおおよそ3ヶ月かかると言われており、一般的な歯科の健診期間3ヶ月と一致します。

InBodyを本格導入してから、歯科衛生士の診療回数や定期健診患者数などのクリニックの数字は大きく成長しています。2013年にInBodyを導入し、現在では歯科衛生士の診療回数、定期健診患者数ともに倍増しています。
「定期健診受診率を上げるのはあくまで中間目標です。InBodyを含めた保健指導によって、患者の行動変容を起こすことこそがエンドポイントです。しかし、中間目標である定期健診の受診率を向上させない限りは、保健指導のチャンスは増えません。クリニックの取り組みにより患者の健康に関する概念や定期健診の関心が高まったことは勿論ですが、スタッフ自身が健康増進型歯科医院の在り方を意識し、患者への積極的な働きかけが行えたことも受診率向上の要因の一つになっていると考えます。」


歯科医院で保健指導を広めるための活動 -POPS研究会-

歯科医院は他科のクリニックとは違い、子どもから高齢者まで幅広い年齢層の人たちが頻回に通う施設です。つまり、歯科はあらゆる世代の健康に関心のない人たちに対して、口腔と全身の健康への意識付けやきっかけ作りをする場として適しています。POPS研究会は、定期健診のたびに口腔ケアと保健指導によって、心身の健康を継続的に維持できる健康増進型歯科医院を増やし、全国で歯科医院から国民の健康を広めていくことを使命としています。


呉沢哲先生は歯科医院の中で保健指導を行えるように、自身の経験や構築したシステムを同業の先生に積極的に紹介しています。ツインデンタルクリニックでは、保健指導の効果が現れ患者数や保健指導を行う機会が増えていることから、今年の2019年4月から新たに管理栄養士を2名採用しました。他のクリニックでも管理栄養士を採用し、保健指導を行っている施設が増えてきています。

「歯科は、国民の半分くらいが半年以内に受診しているという特徴があります。眼科や内科は目に不調があった時、風邪を引いたときなど、何か症状があった時しか受診しません。他科では、歯科のように定期的に医療機関に通って管理しているという人は多くありません。そういう特徴を生かして歯科医院の中で保健指導を広めていけると感じています。POPS研究会を通して、同じ考えの先生をサポートしていきたいです。大きなビジョンですが、将来的には歯科医院で保健指導を行うのが一般的な世の中にしたいと考えています。」


終わりに

InBodyは定期健診強化のための保健指導ツールの1つです。歯科医院で保健指導を行うことは雲を掴むような取り組みですが、InBody導入によって保健指導の初期行動が明確になり、患者の行動変容を起こすきっかけとなります。

「今後、歯科医院において定期健診の強化を図るうえで、保健指導の重要性は増すと考えています。全国の歯科医院でInBodyを含む保健指導の波が押し寄せ、健康寿命のさらなる延伸とより活気のある歯科界が実現できれば幸いです。」

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三菱電機ライフサービス

ウェルネス事業部の取り組み
機種モデル:InBody430

三菱電機ライフサービス株式会社は三菱電機グループ会社で働く従業員とその家族に加え、地域企業や地域社会に向けて、福祉に関するサービスを提供している会社です。”お客様の元気な笑顔が私たちの喜びです。” を社是に掲げ、「住」「食」「憩い」「健康」「介護」のあらゆる面における豊かな暮らしの実現をサポートしています。

ウェルネス事業部は、“三菱電機グループ従業員及びその家族の心身の健康増進をサポートし、生活の質(QOL)の向上と企業の健康経営に寄与する” をミッションに掲げ、社内外で研修を積み、国家資格に加え社内認定を受けた専門スタッフによる保健指導、健康セミナー、そしてInBody測定を主とした健康イベントを提供しています。


ウェルネス事業のスタート

同社において、ウェルネス事業サービスの提供は2003年度からスタートしました。同年入社の松本務さんは、事業立ち上げメンバーの一人としてフィットネスクラブの運営に携わり、フィットネス・プール・スタジオレッスンなど、現場を中心にマルチに活躍されていました。当時は兵庫県伊丹地区を拠点とし、関西エリア中心に運動指導サービスを提供していましたが、2008年度に国の指針による「特定健診・保健指導」の義務化を皮切りに、ウェルネス事業を全国規模に拡大し、それに伴い「ウェルネス事業部」が発足されました。主に運動指導を担当されていた松本さんは、関西・西日本エリアを中心に運動セミナーやイベントを実施・展開され、2012年度から現在に至るまでは本社勤務として拠点を東日本エリアに移し、同サービスを提供する傍ら、新サービスの企画やスタッフの育成にも携わっています。

三菱電機グループでは、会社・労働組合・健康保険組合の協動事業として、MHP21(三菱電機グループヘルスプラン21)活動を
①従業員及びその家族の心身の健康保持増進
②労働生産性の維持・向上
③医療費の抑制・適正化
を意義・目的とし、2002年度より展開しています。ウェルネス事業部ではこれらの趣旨に則って、健康サービスを提供しています。


InBodyの導入で健康増進サービスの幅が広がる

事業部発足当時は、特定保健指導サービスを事業軸としてグループ会社を中心に展開し、「安定したサービスの供給」「事業PR」「顧客との信頼関係構築」に尽力していました。発足1年後には特定保健指導のサービスだけでなく、運動セミナーや栄養セミナーも積極的に展開するようになりました。セミナーの開催頻度も年々増加し、徐々に事業部の認知度が広がっていきました。一方で、事業の幅を広げることを目的としたインパクトのある新サービス導入の必要性も感じ、新しいサービス提供に向けた模索期間でもありました。

新サービスとして、「体組成測定」が候補に挙がった際、松本さんが入社時に運営していたフィットネスクラブでは当時InBody720を導入しており、部位別に筋肉量・体脂肪量を判定できる機能が利用者の間で大変好評であったことから、今回は持ち運び可能なInBody430を東日本・関西エリアにそれぞれ1台ずつ導入し、全国的にサービスを展開することとしました。

「InBody430を2台導入することは大きな投資ではありましたが、事業を拡大するうえでInBody測定器は必須アイテムであり、また本サービスの導入は顧客のニーズに合致しており、その費用対効果を確信していました。」

予想以上にInBody測定のニーズは高まり、2011年度には新規で7台が導入されました。現在では、全国で計12台のInBodyが稼働し、ウェルネス事業部の主軸事業の一つとして大きく成長しています。


健康意識を高める動機づけ

InBody測定会は各社・事業所において年に1~2回、定期的に開催しています。測定会ではInBody測定とその結果に対するカウンセリングを受けることができます。IDに紐づいた履歴がある方の測定結果では、必ず体成分変化や体型チェックの項目における前回との差を確認し、個々の生活習慣に基づく説明・アドバイスをし、また次回も参加していただけるようなコメントも必ず伝えています。

「次はInBody測定会をいつ開催するのかと聞かれたり、測定結果のビフォー・アフターを嬉しそうに話されたりする参加者が多数いらっしゃいます。中には前回カウンセリング時のアドバイスどおり運動をした結果、体重が減りました! などのコメントを直接いただくこともあり、指導者として嬉しさを実感するとともに、やりがいも感じています。」

事業部では厳重な個人情報の管理のもと、参加者の測定データを事業所ごとに保持しており、測定結果の履歴を追うことができるため、事業所ごとのデータに対する分析も行っています。個別で見ると、多い方では20件以上の履歴が残っている方もいます。体型チェックの評価が半年間で肥満から適正に変化している方もおり、InBody測定が健康に対する意識を高める動機づけの1つとして捉えられていることが分かります。

「数値・グラフなどの客観的なデータがあると、測定者本人は勿論、指導者にとっても説得力があります。InBodyの測定時間・結果項目・データの信憑性に対してとても満足しています。」


今後の健康増進サポートについて

2018年度は東日本エリアだけでも、延べ5000~6000人以上の方を対象にInBody測定を実施しました。ここ最近の1~2年はホームページを介してグループ外からのイベント企画に関するお問い合わせも増えてきており、ますます需要が高まってきています。

「現在、ウェルネス事業部には管理栄養士・健康運動指導士・臨床心理士など、健康増進におけるあらゆる分野の専門家が在籍しています。それぞれの強みを発揮し、更なる連携強化に努め、「食」「動」「心」の健康増進トータルサポートに努めて参ります。三菱電機グループ全体が一丸となって、健康経営に向けた取り組みをますます加速する、その牽引役として、ウェルネス事業部の存在意義を確立したいと考えています。」

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女子栄養大学

管理栄養士育成へのInBody導入
機種モデル:InBody770

女子栄養大学は埼玉県にキャンパスを置いている栄養・保健関連のスペシャリストを育成している栄養学部の単科学大学です。実践栄養学科は国が指定する管理栄養士養成課程であり、ここを修了することで管理栄養士の国家試験受験資格を取得できます。

1961年の設立以来、食と健康をテーマに栄養学・保健学の教育・研究に力を注いでいます。管理栄養士国家試験の合格率は高く、合格者数は毎年全国1位です。保健栄養学科も2019年臨床検査技師国家試験において、90.3%と高い合格率でした。国家資格の取得だけでなく、大学で学んだことや取得した資格を活かし就職する学生が多いことも特徴であり、管理栄養士・臨床検査技師だけではなく、多くの栄養士・養護教諭・家庭科教諭・栄養教諭などの人材を育成し、日本人の健康維持・増進に貢献しています。


管理栄養士の役割

給食・栄養管理研究室の石田裕美教授は、栄養状態の評価・改善という管理栄養士の実践的な業務と密接に関係する研究を専門としている実践栄養学科の教授です。大学受験では理系且つ資格取得が可能な大学であるという理由から栄養学部と薬学部を受験し、女子栄養大学に進学しました。大学時代は実践栄養学専攻で学び、卒業研究を進めていく中で栄養学を深めていきたいと考えるようになり、女子栄養大学大学院に進学しました。その進学を機に管理栄養士としてではなく、教育・研究の道へと進み、現在では女子栄養大学の管理栄養士を志望している学生の教育に携わっています。

「人は食べないと生きていけません。日々の食が健康維持に繋がることもあれば、病気に繋がることもあります。管理栄養士という職業は、子どものときから正しい食習慣を身につけてもらうことに貢献できる仕事です。本来は家庭で食材から家族のため、自分のために調理し料理を作りますが、現在は自分で調理をしなくても食事をすることができるような時代になっています。食物の選択肢が多様で豊かになってきている時代だからこそ、人々が自分の健康のために何を選択して食べるかについての知識を得て、実践に移すように促す、管理栄養士の役割が非常に大きいと思っています。」


栄養管理における見解の転機

アメリカの臨床栄養のなかではヒューマンニュートリション(人間栄養学)を基に、人間・食事・地域・環境などを対象とした総合的な栄養管理が行われていました。日本では戦後の食糧不足の時代、すなわち欠乏時代の経験から、栄養士・管理栄養士の業務はヒューマンニュートリション以上に食事の管理が中心でした。必要な栄養量の基準として所要量を目標に食事を調整する栄養管理が行われていました。しかし、1990年に入り、人の栄養状態を評価・判定し、栄養状態を改善するために必要な食事改善を支援するという方向に転換する動きが始まりました。現在の日本は栄養の不足と過剰が同時に存在しています。必要な食事量だけでなく過剰摂取の回避や生活習慣病の予防を視野に入れた食事摂取基準が策定され、ヒューマンニュートリションを基にした栄養管理が行われています。栄養管理のとらえ方の転換を機に、体重だけの管理ではなく体成分管理の必要性が認識され、栄養学の教育でも体成分分析装置による測定が取り入れられるようになりました。


実習へのInBody導入

管理栄養士は栄養状態を様々な測定データからアセスメントし、それに基づき栄養管理を実施します。身長・体成分・骨量、採尿・採血による臨床検査など様々な測定を行うため、測定機器に触れる機会を実習として講義に組み込んでいます。測定機器の特徴を理解し、異なる機器による測定データの関係性を分析し、データの傾向や精度を学ぶことができます。

身体計測の実習に取り組み始めた当初は、体組成を測定する方法としてキャリパーを用いていました。キャリパーは測定時の計測点や力加減によって測定値にばらつきが出るため、測定の精度を確かめるために、体成分分析装置の導入が必須でした。実習中に100人以上の学生を測定することを考慮した場合、時間と費用の面からDEXA法ではなく、両腕間ないしは両脚間のインピーダンスのみを測定する一般家庭用の体組成計が導入されました。しかし、それらの体組成計は測定部位の違い、日内変動が大きいなど限界も大きく、実習当初はゴールドスタンダードのような基準が存在しない中で機器同士のデータ傾向のみを分析していました。

様々な機器を試したところ、研究に活用できる機器はInBodyであると考え、2000年にInBody3.0を2台導入しました。成長期である中高生の栄養状態と身体状況の関連について、大規模な調査がスタートしたことをきっかけに、体脂肪率の測定も調査において重要な項目として位置づけることができました。この調査が継続的な調査となり、導入台数を徐々に増やしました。現在、女子栄養大学では、8台のInBodyを所有し、実習の中にInBody測定を取り入れています。

「InBodyは両腕・体幹・両脚の5つの部位ごとの数値を得ることができ、左右・上下のバランスを知ることができます。また、再現性を高める8点接触型電極という技術がInBodyに組み込まれているため、同じ時間帯・条件下で測定した場合、測定姿勢が結果に与える影響が小さく変化を敏感に追うことができます。」

実践栄養学科2年生前期の実習では、身体計測として身長、InBody測定、骨量測定、採尿・採血による臨床検査、食物摂取頻度調査を行い、各種測定データの見方について学び栄養状態の評価・判定を行っています。また、InBodyで測定した体脂肪率、除脂肪量の数値をゴールドスタンダードと見立て、他の機器で測定したデータとの関係性を分析しています。講義を通して、測定機器の特徴を理解し、データの読解力や分析スキルを修得することができます。また、学生のキャリパー測定の技術を高めるトレーニングでもInBodyを活用しています。3人で同じ学生をキャリパー測定した際、算出した平均値から各々の測定値が平均値±10%以内に収まる様に訓練し、算出した平均値とInBodyで測定した体脂肪率との誤差を確認しています。

「キャリパー測定の精度を高めると、キャリパー1つで病院などのベットサイドで、あるいはフィールドワークでの測定が可能となります。キャリパー測定の技術をしっかり持つことで、栄養状態のモニタリングも正しく行えます。」


今後の目標

女子栄養大学において、InBodyは管理栄養士の教育だけでなく、中高生の成長期における身体発育に関する研究や、高校生・大学生の運動選手の栄養管理としても活用されています。

「現在、成長期における体脂肪の役割や適切な体脂肪量の増え方を把握するために、中高一貫校生徒の体脂肪率の分布の推移を検討しています。見た目は痩せている方が良い、体脂肪量を増やしたくないと考えている成長期の生徒は多く、成長期に体脂肪量を適切に蓄えることは生物学的に正常であるということを理解してもらえるようなデータを示していきたいと考えています。

また、女性のスポーツ選手における3主徴(利用可能エネルギー不足・無月経・骨粗鬆症)は成長期の頃から始まっており、適切な体で競技を長く続けられるように、成績を出していけるように成長期からの体脂肪率を研究することで、正しい成長を促すための食事サポートに繋げていきたいです。

結局、測定結果というのは食生活・運動習慣の結果を表しており、結果に至るまでの食生活の過程を追いかけていく必要があります。モニタリングの項目は身長・体重だけでなく、もっと体成分に注目することが栄養学において重要になってきています。InBody測定をはじめとする、実習内での様々な体験は、栄養管理の現場で活かすことができるでしょう。実践的な経験は自信になり、実際の現場でも栄養指導として取り入れることができるため、 “より実践できるような栄養学を人々に普及させる” という本学の使命を果たしていく人材へと成長しています。」

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広島東洋カープ

コンディショニングの維持と体成分
機種モデル:InBody770

広島東洋カープは広島を本拠地としているセントラル・リーグ所属のプロ野球チームです。1945年原爆投下後の苦しい時代の中、市民と青少年への心身ケアを目的として健全な娯楽を提供したいという強い情熱で創設され、1950年からセントラル・リーグに加盟しました。カープはプロ野球チームの中で、経営を特定の企業に全面依存しない唯一の球団であることから、広島地域に根付いた活動が盛んに行われ、熱烈なファンが多いことも特徴です。6チームからなるセントラル・リーグでは、2016年からリーグ史上2球団目となる3年連続優勝を挙げ、リーグ上位3チームで争われるクライマックスシリーズでは、2016年と2018年に優勝を勝ち取っています。


2016年 変動の年

広島東洋カープのトレーナーを務める梶山聡司トレーナーは、選手のパフォーマンスを高めるためにフィジカル面の管理から栄養指導までを一括して総合的に調整を行う、コンディショニングトレーナーです。高校時代から大学まで野球選手として過ごした経験から、選手やパフォーマンスと直接関りを持つトレーナーという職業に興味を持ち、志すきっかけとなりました。大学で整形リハビリを学ぶには、国内よりもスポーツ医療の研究が進んでいるアメリカで学びたいという気持ちから、ボストンの大学に留学することを決めました。在学中にはインターンシップとしてメジャーリーグのBoston Red Soxの一員となりながら大学院を卒業し、卒業後はシカゴのBroMenn Medical Center / Orthopedic & Sports Enhancement Centerに3年勤務、その後再びアスレチックトレーナーとしてインターン時代に所属していたBoston Red Soxに戻りました。そして2016年に広島東洋カープのコンディショニングトレーナーとして入団し、その後同じ年にInBody770もカープに入団することになります。

「チームの勝ち負けはコントロールすることができませんが、選手の体調やコンディションはコントロールすることができます。良い体になれば試合に勝てるという訳ではありませんが、できるだけのサポートとして体調だけは常に健康で、引退するまで離脱もなくプレーに集中して欲しいです。そして、その結果チームの目標としての勝利に繋がればと考えています。」


指導の根拠として測定データの正確性が求められる

InBodyの導入前は市販の体重計による、体重と体脂肪率の管理を行っていました。体脂肪率の値は一貫性が見られず誤差も大きかったため、当てにすることができませんでした。また、単なる体重を記録してもその数値の意味を選手に伝えることはできません。同じ体重・同じ筋肉量・同じ体脂肪量でも、正確性や信頼性がなければ数値に意味を持たせることはできません。エラーの多い計測では、体脂肪率が増えてきていることへの注意や、食事内容改善の提案も 「この測定値は正確ではないじゃないですか? 本当にこの数値は正しい値ですか? 」と断る逃げ道を与えることになります。市販のもので選手のコンディションを管理するには限界があり、トレーナーたちの指導に説得力を持たせ、逃げる余地を与えないためにも、エラーがなく、補正も受けず、正確性のある何かしらの測定器が必要でした。そこで検討したものが、キャリパー法と医療分野でも使われている高精度体成分分析装置でした。

ここで、他球団やエリートスポーツでの導入実績があること、ランニングコストがかからないこと、統計補正の影響を受けないこと、データの蓄積ができること、そういった欲しい機能が備わっているものがInBodyでした。プロ野球のチームは遠征が多いため、定期的に測定ができて持ち運びができる測定器としてキャリパー法も候補に挙がりましたが、この方法はヒューマンエラーの問題を解決することができませんでした。

「InBodyの数値を使い始めてから、選手の理解度は良くなりました。漠然とした、体重が落ちれば良くない、体重が増えれば力が上がるというアバウトな理解ではなく、InBodyの細かい数値を使うことで、選手の体に対する興味が深まったと感じています。」


選手の体成分管理を徹底する

選手の体成分管理のために毎月最低1回のInBody測定を実施しています。キャンプから日本シリーズまでの9ヶ月間にも及ぶシーズンでは、特に値の変化に敏感に着目しています。オフシーズンに力を蓄えて、キャンプで調整を行い、シーズンの開幕で試合のできる、疲労も蓄積していない状態(=ピークコンディション)となるため、この時期に測定したInBodyの結果を基準値として設定します。InBodyの項目はたくさんありますが、全ての項目を全体的に捉えて変化をモニタリングしていくと、急な値の増減が自覚していない疲労や怪我のサインとなることがあります。InBodyを使用してグラフの変化を追っている内に、定めた基準値から悪化した選手はパフォーマンスが低下していたり、成績が落ちていたり、疲労や怪我を抱えているという印象を持つようになりました。

オフシーズン中は、前年度の値とシーズン中の平均値と比較しながら、どういう状態が個人のベストコンディションであるのか、オフシーズンの基準とする値も検討しています。また、怪我や手術を経験した長期リハビリの選手が、練習に戻る・グランドに戻る・トレーニングに戻る・試合に戻る・2軍から1軍に戻るタイミングなどを計る際に、体成分がどれだけ基準値に戻っているのかを確認することも一つの判断材料として参考することがあります。

※履歴グラフはサンプルイメージです。

始めから選手の全員がInBodyによる体成分の管理に積極的であったわけではありません。体がアスリートにとってどれだけ重要かを認識している選手は、積極的に測定や数値の意味を聞きに来ますが、そうでない選手に対しては、常に測定・数値の重要性・栄養の指導などを繰り返し指導し、InBodyの結果を気にせざるを得ない状態に持っていきました。これがトレーナーの仕事でもあります。

「なぜこの数値が体調管理に必要なのか? ということを分かってもらえて測定がスタートできます。測定して終わりではありません。」

数値を理解することの重要性を粘り強く意識付けした結果、今ではほとんどの選手がInBodyに理解を示し、積極的に測定に参加するようになっています。選手たちには、自身の肉体をもっと良くしたいという意欲があります。

4月から10月は筋肉量を落とさないことを、最低限の目標として選手に伝えています。同じスイングでも、65kgの筋肉量で振ったスイングと70kgの筋肉量で振ったスイングではパワーが異なるのでパフォーマンスにも直接影響します。

「全ての選手がこの目標を達成することは難しいですが、筋肉量が落ちない選手は振り返ってみると打率が良かったり、タイトルを獲得していたり、優勝に大きく貢献するような、そういう選手になっています。ここ3年で全体的に選手の体格はいい意味で大きくなっていると感じています。」


終わりに

選手のInBodyに対する印象も良くなってきています。各数値を疑うこともなく、活用しようとする姿が見られるようになりました。

「できるだけいい状態の肉体を維持し続けるために、トレーナーは数値を管理することは勿論重要ですが、その他に選手のメンタル面や栄養管理など多くの要素から何を優先するのかを選択をしなければなりません。長いシーズンを乗り切るために、時には体成分から離れてモチベーションのケアが優先になることもあります。」

「日本のスポーツはまだまだ発展の途上で、特にフィジカルを必要とするスポーツ、パワーを必要とするスポーツは欧米と比べて劣っている部分があります。フィジカルの面で世界に追いつくためには、昔ながらの感覚的・経験的なやり方からは脱却して、数値的・客観的に分析して選手の能力を上げていけるようなトレーナーが求められています。感覚や体重だけではなく、細かい体成分に着目して伸ばすべきところは伸ばすというような、皆で同じ方向に進んでいけたらと思います。球界はチーム間の情報共有に対して閉鎖的なところもありますが、日本全体のレベルアップのために、球団のトレーナーやスタッフが協力し合い、情報交換を行うことは意味があると考えています。」


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