BIA技術の限界と克服 Part1: 技術の黎明

※このトピックをより深く理解していただくには、「InBodyの技術」ページも併せてご覧いただくことをお勧めします。


BIA(Bioelectrical Impedance Analysis:生体電気インピーダンス分析)技術が商業化された当初は、健常者に対して大体の体成分情報が提供できることから、”体脂肪計” として一般家庭やフィットネス現場に広く普及しました。しかし、部位毎に長さ・太さが異なり、水分均衡も変動する人体を、片半身の単周波数インピーダンスだけで解釈していた初期のBIA技術では、信頼性に関する疑念を払拭できず、医療・研究など専門分野での普及が遅延していました。限られたインピーダンス情報からできる限り正確な体成分を算出するための試みとして、年齢・性別を始め、体型・病歴・人種など様々な情報が組み込まれた補正式が開発されましたが、補正式は式を作った集団と類似な人体のみで精度が保たれ、且つ体成分の変化が正しく反映されない限界から、専門的な使用を目的とした医療・研究の現場では長年注目されることがありませんでした。

しかし、BIA技術は数十年に渡る長い道のりの中で飛躍的に向上しました。InBodyなどの最新技術を搭載した一部のBIA機器で測定した部位別筋肉量や体脂肪量は、ゴールドスタンダードと言われるDEXA(Dual Energy X-ray Absorptiometry)との比較測定によってその精度が証明されています。

もし、BIA技術は推定としての情報しか分からない、使えない技術であると考えているなら、想像してみてください。設置場所を取らずに、クリニック・パーソナルジム・待合スペースなど、どこでも設置可能で、簡単・迅速に測定でき、最高水準の精度と再現性を併せ持つデバイスを。体の変化を敏感に反映して治療やトレーニングの効果をモニタリングできる機器を。これらを実現可能にしてくれる機器が、InBody=体成分分析装置です。


過去の技術を使っているBIA機器


自宅などで使っている家庭用のBIA機器を確認してください。多くの機器が、統計補正に必要な情報として年齢・性別を入力する必要があり、両脚や両腕、片半身など体の一部だけに電気を流してインピーダンスを測定しています。体の一部しか測定していないにも関わらず、全身の値が算出されるということは、実際に測定した体の一部分に基づいて、全身の値を推定しているということを意味します。この方法は、全身の体成分が画一的であると想定しています。つまり、体の上下左右の筋肉の発達が不均衡の方は誤差が大きくなり、補正式を作った特定集団で表れる体成分の傾向と異なる方は更に誤差が大きくなります。

➤ケース① スポーツ選手

サッカー選手は一般人に比べると下半身がとても発達していますが、このような方が両脚だけを測定するBIA機器を使用すると、上半身も同様に発達していると見積もられた結果、全身の筋肉量が実際よりも過大評価される(=体脂肪率が極端に低く算出される)ケースがあります。

➤ケース② お腹周りの肥満

男性は特に内臓脂肪の増加も起因して、体幹部に脂肪が付きやすいです。腹部脂肪が溜まっている方が両腕だけを測定するBIA機器を使用すると、比較的体脂肪率が低い腕の情報に引っ張られ、体幹の過剰な体脂肪は無視された結果、全身の体脂肪率が実際よりも過小評価されるケースがあります。

➤ケース③ 特定部位の浮腫み・怪我

片半身だけを測定するBIA機器は、右半身または左半身のインピーダンスから残り片半身も同じとして全身を推定します。リンパ浮腫など特定部位のみが浮腫んでいたり、片足骨折など怪我が原因で一部が弱っていたり、左右の均衡が崩れている場合は全身筋肉量を実際より過大、若しくは過少評価してしまいます。また、長さ・太さがまったく異なる腕・体幹・脚を一つの円柱として解釈するには限界もあります。

また、これまでのBIA機器は単周波数(50kHz)の交流電流でインピーダンスを測定していました。しかし、50kHzの低周波数は電流が細胞膜を通過しづらいため、細胞内の水分量および全身の水分量を正確に測定することができません。その結果、水分バランスが崩れている高齢者や疾患者の体成分解釈を誤ってしまう場合があります。

➤ケース④ 高齢者・疾患者

単周波数(低周波数)だけを使用するBIA機器は、一部の体水分(細胞外水分量)しか測定できず、測定できた一部の体水分を基に残りを推定します。痩せている高齢者や、浮腫を伴う疾患を持っている患者など、水分バランスが大きく崩れている方は、全身の水分量や筋肉量が過大評価されるケースがあります。

ここまでは初期のBIA技術と、その問題点について説明してきました。次回のトピックでは、これらの限界を克服した最新技術DSM-BIA(Direct Segmental Multi-frequency Bioelectrical Impedance Analysis)についてご紹介します。

※このトピックをより深く理解していただくには、「InBodyの技術」ページも併せてご覧ください。

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