体成分とは何でしょうか?

 

フィットネスクラブやリハビリ室などのトレーニング現場で、体成分という言葉を聞くことがあります。また、健康関連雑誌やフィットネスブログを読んで、同じ言葉を目にすることもあれば、医療施設で担当の先生から体成分を測定しましょうと言われることもあるでしょう。このように体成分とは健康に関わる分野では頻繁に使われる言葉であり、その仕組みを理解することでより適切な方向に健康を改善し、生活の質を高めることができます。しかし、今まで心の中で“体成分とは何だろう?”と気になったことはありませんか?

体成分を説明する前に、車の定期点検のことを想像してみましょう。整備士はボンネットを開け、エンジンを点検し、部品の異常がないかを検査します。また、オイルやブレーキパッドを交換する必要があるかなど、車の状態を調べます。これと同様に体成分分析は体の状態を点検します。筋肉量は十分なのか? どこの部位が弱いのか? 体脂肪率は高くないか? 水分バランスが崩れてはいないか? など体を構成する様々な成分の過不足を詳しく分析します。


体成分を分析することによって、単に体重が重い軽いではなく、なぜ体重が今の数値であり、なぜ前回と体重が違うのかを明らかにすることができます。自身の体成分を知ることによって体重を調節するための目標を各部位や成分の数値から具体的に設定できるようになる上に、その成果も定期的に追うことができます。


体成分モデルには、観点によって複数の定義があります。

先ず、基礎から始めましょう。最も基本的な体成分の分け方は、2成分モデル(Two compartment model;2C)と呼ばれるものであり、体を除脂肪量と体脂肪量の2つの成分に分けます。

除脂肪 (Fat Free Mass)
除脂肪量には体水分・内臓・骨格筋・骨などの様々な成分が含まれています。体脂肪を除いた全ての成分は除脂肪組織に分類されます。

体脂肪 (Fat Mass)
体脂肪は必要のない成分と考え、必要以上に減らそうとしていませんか? しかし、一定量以上の体脂肪は体が機能するために必ず必要です。体脂肪はエネルギーを蓄え、内部器官を保護し、断熱材として働いて体温を調節します。スポーツ選手でも体脂肪量をゼロにすることはできず、体脂肪率を極端に低くして維持することは健康面からお勧めできません。

我々が検診施設や自宅の体脂肪計でよく測定している体脂肪率が、この2Cモデルから算出されるもの(体脂肪率=体脂肪量÷体重×100)であり、2Cモデルより細かく体を分析するには4成分モデル(Four compartment model;4C)の分け方を採用します。

体水分 (Total Body Water)
健康な人は約50~70%が水分です。体水分は摂取した栄養素を体の細胞に届け、老廃物を体外に排出する運搬の役割をしています。

タンパク質 (Protein)
体水分と共に筋肉の主な構成成分です。タンパク質の不足は、細胞の栄養状態が良くないことを意味します。

ミネラル (Minerals)
ミネラルの約80%は骨にあり、体を支える役目をします。不足すると骨粗鬆症や骨折の危険性が高まります。ミネラル量は除脂肪量と密接な相関関係にあります。

体脂肪 (Fat Mass)
食事で摂った栄養分は消化吸収され活動のエネルギーとして使われます。使いきれなかったエネルギーは脂肪細胞に蓄積され、肥満の原因となります。

以上の4つの成分を合計すると体重になりますが、この基本成分を更に分けたり、組み合わせることによって次のような概念が生まれます。

筋肉量 (Soft Lean Mass; SLM)
体重から骨と体脂肪を除いた除脂肪軟組織(Lean Soft Tissue)を意味しており、体水分量とタンパク質の集合体として、骨格筋・心臓筋・内臓筋などを全て含む概念です。InBodyの筋肉量はDEXAが提示する除脂肪軟組織量(Lean Soft Tissue Mass)と定義が一致します。
※DEXAは筋肉量測定のゴールドスタンダードと言われる測定方法で、詳細は後のページで紹介しています。

骨格筋量 (Skeletal Muscle Mass;SMM)
筋肉量の中でも随意的な運動が可能で筋繊維による横紋を持っている筋肉のみを意味します。四肢の筋肉は骨格筋のみで構成されている反面、体幹の筋肉には内臓筋・心臓筋も混在します。そのため、当項目は全身筋肉量から推定される内臓筋・心臓筋を除いた値でもあります。

体細胞量 (Body Cell Mass;BCM)
骨格筋・内臓・血液・脳のような組織の無脂肪細胞部分の総量を意味し、タンパク質量と細胞内水分量の合計で算出されます。栄養状態・身体活動程度・疾患有無を反映するバイオマーカーの役割をします。

骨格筋指数 (Skeletal Muscle Index;SMI)
四肢の筋肉量を身長(m)の二乗で割った値です。

体成分で大事なことは何でしょうか?

生活習慣を改善して体重を調整したい場合、先ずは体を構成する各成分の量とバランスを知る必要があります。もしそういう情報が正確に分からない状態で生活習慣の改善に取り組んでしまうと、行動のモチベーションが下がることは勿論、無関心にもつながってしまいます。

体型や肥満度を評価する代表的な方法として、体格指数(Body Mass Index;BMI)があります。BMIは体重(kg)を身長(m)の二乗で割った値であり、国際的に使用される指数であるものの、身長と体重のみで肥満可否を判定するため、見かけの肥満度を意味します。一方、体成分は体型や肥満度を筋肉と脂肪のバランスから評価するため、見かけではない実際の体型が分かります。つまり、体型や肥満度を評価するにはBMIよりも体成分の方が有効であると言えます。

体脂肪量1kgと筋肉量1kg、重たいのはどちらでしょうか?

落とし穴の質問でしたが、同じ1kgであるので重さは一緒です。しかし、果たして体脂肪量1kgと筋肉量1kgの大きさも一緒でしょうか? 実は筋肉は体脂肪に比べて密度が高く、同じ重さの筋肉量と体脂肪量なら筋肉の方の体積がはるかに小さいです。

同じ重さでも体積が異なるということは、何を意味するでしょうか? 一般的な体型の人であれば、BMIは身長に対する体重として良い指標になりますが、スポーツ選手やまったく運動習慣がない人ならどうでしょうか。生活習慣や身体特性を考慮せずに、BMIだけで体型評価を行うと誤解を招くおそれがあります。

 

先ずバスケットボール選手の例をあげてみます。フォワードはシューティングを容易にするための身長と、ディフェンスで当たり負けしないための体重のどちらも必要です。身長が203.2cmで体重が113.5kgである選手のBMIは27.5kg/m2です。世界保健機関(WHO)によると、BMIが25を超える人は「肥満」に分類されます。しかし、一般的にスポーツ選手の体脂肪率はとても低く、BMI25以上だからと言って、この選手は肥満とは言いません。

次にデスクワーク中心の仕事をする会社員の例を考えてみましょう。この方は健康的な食事をしながら体重の増加を避けようと心掛けていますが、定期的に運動する時間がありません。身長は162.6cm、体重は54.5kg、BMIは20.6kg/m2です。世界保健機関(WHO)によると「普通体重」に分類されます。しかし、運動習慣のないデスクワーカーは特に脚の筋肉が落ちやすく、筋肉の均衡も崩れやすいので、その結果体脂肪率も高くなってしまいます。つまり、体重とBMIが標準範囲であったとしても、健康体とは限りません。

隠れ肥満という言葉を聞いたことがありますか? 隠れ肥満とは見た目は細くても筋肉が少なく、体脂肪率が高い体型を意味し、サルコペニア肥満と同じ状態を示します。隠れ肥満も肥満の人と同様に、心血管疾患や糖尿病などの合併症リスクがあります。しかし、BMIからは運動不足や隠れ肥満は発見できません。BMIが標準範囲だとしても安心してはいけません。

体成分をどのように調べることができますか?

体成分を測定する方法はたくさんあります。短時間で簡単に、限られた項目だけを提供する方法があれば、時間と費用をかけて専門家のサポートが必要なものもあります。ここでは体成分の測定方法をいくつか紹介します。

キャリパー法

キャリパー法は、持ち運びができて使いやすく、適切な訓練を受けた人なら誰でも測定することができます。測定部位の皮下脂肪厚をキャリパーと呼ばれる器具で挟むようにして測定します。それから測定結果を公式に当てはめて全身の体脂肪率を算出します。キャリパー法は、2Cモデルの一例です。キャリパー法を使用するときの注意点は、測定結果が測定者によって異なる点です。測定結果のばらつきを減らし、精度を向上できる工夫がされた医療機器に比べ、再現性が高いものではありません。

水中体重法

水中体重法は、空気を全て吐き出して完全にプールに浸かり、体重を計ります。水中の体重と陸上の体重を比較して、プールの水の密度と共に、一連の公式に当てはめて体脂肪率を算出します。水中体重法は除脂肪量と体脂肪量を求めるゴールドスタンダードとして知られていますが、キャリパー法と同様に2Cモデルの一例で、測定できるのは除脂肪量と体脂肪量のみです。水中体重法を実施するには、特別なプールを持つ大学や研究施設などで予定を立てて、訓練された専門スタッフの指導の下で行う必要があります。

二重エネルギー放射線吸収法(DEXA)

DEXAは、2種類のX線を体に照射し透過前後のエネルギー量減衰率から、体重を筋肉量・体脂肪量・骨ミネラル量に区分して測定する装置です。DEXAは元々骨密度を測定するように設計されていましたが、現在は体成分を測定するためにも使用されており、筋肉量や体脂肪率のような項目も見ることができます。DEXAは、体成分を測定するゴールドスタンダードと言われており、キャリパー法や水中体重法とは異なり、筋肉量・体脂肪量等を部位毎に測定します。ただし、DEXAを実施するには、DEXA装置を備えた病院またはクリニックで医師の指示のもと測定をすることができます。すべての医療施設にDEXAが設置されているわけではありません。

生体電気インピーダンス分析法(BIA法)

BIA法は、人体に微弱な電流を流し、その電流が体水分を流れる際に発生する抵抗(インピーダンス)を測定することから始まります。測定されたインピーダンスをもとに体水分量を算出し、筋肉量・体脂肪量等の体成分を求めることができます。他の方法とは異なり、測定中に必ずしも専門スタッフが必要というわけではなく、機器画面の指示に従うだけで誰でも使用することができます。

ただBIA装置の品質と精度は製品によって大きく異なります。全てのBIA装置が全身を部位別に測定しているわけではありません。例えば、多くの家庭用体脂肪計では、脚のインピーダンスのみを直接測定し、上半身は推定したり、逆に腕のインピーダンスを直接測定し、下半身は推定値を使用しているものもあります。一方、最先端の医療用BIA装置は、DEXAと同様に体を部位別に測定するだけでなく、使用する電流の周波数も多く使用することでより多くの情報を正確に求められる上に、手間や費用はほとんどかかりません。

自身の体成分を把握することは、生活習慣を改善すうための第一歩です。是非、近くのフィットネスや医療施設等でInBody測定をお試しください。そして、測定結果から現状を把握し、客観的な運動計画や健康的な食事の献立作成に役立ててください。より健康的な体を手に入れて、充実した生活を送ってください。

体成分を簡単に説明した下記ビデオもご覧ください。

0 返信

返信を残す

Want to join the discussion?
Feel free to contribute!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です