より効果的に有酸素運動を行うために

体脂肪量を落としたいと思った時、ウォーキングやジョギングなどの「有酸素運動」を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。有酸素運動には、体脂肪量の減少以外にも生活習慣病の予防や体力の向上など多くのメリットがあります。ただし、運動の種類によって得られる効果は異なります。今回は、有酸素運動の種類と特徴、効果的に行うポイントを整理してご紹介します。


「有酸素運動」とは?

有酸素運動を効果的に行うためには、まずその定義を理解しておくとよいでしょう。有酸素運動とは、比較的軽い負荷の運動を、長時間継続して行う運動のことです。酸素を使って運動中のエネルギーを作り出すことから、「有酸素」運動と呼ばれています。

運動をする時のエネルギー源として使われる順番は、一般的に「糖質→脂質」とされています。運動開始時は糖質の利用割合が高く、運動を継続するにつれて脂質の利用割合が徐々に高まります。なお、タンパク質もエネルギー源として一部使われていますが、その割合はごくわずかです。

脂肪がエネルギー源として利用される際には、体内の脂肪が分解されて脂肪酸となります。この脂肪酸が全身の細胞に運ばれ、酸素を消費しながらエネルギー源へと合成されていきます。つまり、有酸素運動には高い脂肪燃焼効果が期待できます。

一方、筋トレや短距離走のように、短時間に強い負荷をかける運動は「無酸素運動」と呼ばれます。無酸素運動は主なエネルギー源が糖質であるのに対し、有酸素運動は糖質だけでなく脂質も利用します。そのため、体脂肪量を減らすことを目的とする場合には、無酸素運動よりも有酸素運動の方が向いているといえます。


有酸素運動の種類と特徴

有酸素運動の中にも、様々な種類の運動方法があります。ここでは代表的な運動とその特徴、効果的に行うポイントをご紹介します。

ウォーキング

有酸素運動の中でも負荷が小さく、場所を選ばないため誰でも気軽に始められます。厚生労働省が示している、健康のための目標歩数は成人男女各8,000歩/日、高齢者(65歳以上)男女各6,000歩/日となっています。また、ウォーキングによる脂肪燃焼効果は20分以上行うことで期待できると言われています。

ただ歩くだけではなく、歩幅はやや大きく、かかとで着地をして親指で地面を踏み込むようにして歩きましょう。また、顎を引いてしっかりと前を向き、腕も足の動きと合わせてリズミカルに振ることで、より効率的に脂肪燃焼効果が得られます。

ジョギング

ウォーキングと同様に場所を選ばず始めやすいですが、強度はやや高めです。適切な強度の目安は、「会話ができる程度」の余裕があるスピードで走ることです。脂肪燃焼効果以外にも、持久力の向上が期待できます。ただし、足や関節への負担は大きくなるため、クッション性の高いシューズを選ぶようにしましょう。また、ジョギングを行う前後にはストレッチをすることもけが予防に繋がります。

サイクリング

比較的小さい負荷で、脂肪燃焼効果に加えて持久力の向上や、心肺機能の向上、下半身のトレーニング効果が期待できます。また、膝や腰への衝撃が少ないため、関節への負担を抑えながら行いやすい運動です。一般的には30分以上継続して行うことで十分な効果が得られると言われています。強度を上げたい場合は、ペダルの負荷を上げたり傾斜を付けることで調節できます。

水泳

水中で働く浮力のおかげで膝や腰などへの負担がなく行えるため、日頃の運動はもちろん、怪我をして思うように運動ができない時にも水泳がお勧めです。また、普段使わない筋肉を含めた全身の筋肉を使うため筋力の強化も期待でき、有酸素運動の中でもカロリー消費率が非常に高い運動として知られています。30分以上を目安に継続すると、効果を実感しやすくなります。水泳が苦手な方は、水の中を歩くだけでも効果が期待できます。リラックス効果も高く、ストレス解消法としても適しています。

縄跳び

強度がかなり高く、短時間で非常に高い脂肪燃焼効果を得られます。さらに、ジャンプすることで骨にも負荷が加わり、骨密度を高める効果があることも確認されています。背筋を伸ばした正しい姿勢で行えば、腹筋や背筋など体幹の筋肉を鍛えられます。しかし膝や足への負担も強いため、クッション性の高いシューズを履いたり、柔らかい素材の床で行うなどの工夫が必要です。

ヨガ

ヨガは「有酸素運動」と「無酸素運動」の両方の要素に、ストレッチやマッサージの要素も加わった運動です。呼吸や姿勢を意識しながら、心身のバランスを整え、緊張をほぐすために行われます。精神の安定などメンタル面での効果以外にも、特定の姿勢を保つことにより体の深層部にあるインナーマッスルが鍛えられます。筋肉量が増えることで基礎代謝量も上がり、痩せやすい体質へと変化します。また、体の歪みを整えて柔軟性を高める効果もあり、心にも体にもアプローチできる総合的な健康法として知られています。


より効果的な運動のためには「心拍数」がポイント

有酸素運動の効果を最大限まで引き上げるには、それぞれの運動を正しい方法で行うことが最重要です。また、併せて意識したいポイントは「心拍数」です。

心拍数とは、1分間に心臓が拍動する回数を指し、健康な成人では約60~100回と言われています。運動やストレス、疾患などによって変動するため、健康状態や運動強度を把握できる重要な指標とされています。心拍数は高ければ高いほど良いわけではなく、適した心拍数の範囲で運動を行うことで、より効果的に脂肪燃焼が行えるようになります。

心拍数を調整する上でまず把握しておくべき指標が、「安静時心拍数」と「最大心拍数」です。安静時心拍数は、起床後、体を起こす前に横になった状態で、15秒だけ手首の動脈で脈拍を数え、その回数を4倍することで確認できます。最大心拍数は、【220-年齢=最大心拍数】という式を用いて推測できますが、あくまで目安であり個人差がある点には留意が必要です。

▲ 心拍数と運動強度の目安

運動の目的によって、目安となる心拍数は異なります。最大心拍数に対して50%程度であれば負荷も軽く、ウォーミングアップやクールダウンに最適です。60%~80%程度が有酸素運動に最も適しており、脂肪燃焼効果が十分に発揮されます。しかし80%以上になると強度が上がりすぎ無酸素運動に近づき、糖質が優先的に消費されるため、脂肪燃焼効果が低下してしまいます。60~80%の心拍数を目安に運動を行うように心がけてみましょう。


終わりに

有酸素運動は、脂肪燃焼や持久力の向上など身体面でのメリットに加え、ストレス解消などの精神面での効果も期待できます。初めから強い負荷で挑戦するのではなく、無理なく継続できる頻度や強度で長く続けていきましょう。また、様々な有酸素運動の中から自分の体力やライフスタイルに適した運動を見つけ、たまには異なる運動を組み合わせながら行うことが継続するモチベーションにも繋がります。有酸素運動を単なる運動と捉えるのではなく、心身共にリフレッシュできる時間として、有効活用してみませんか?