BIA技術の限界と克服
-Part2: 最新技術-


これまでのBIA技術には前回のトピック「BIA技術の限界と克服 Part1: BIA技術の黎明」で紹介したような限界があり、部位別測定や多周波数測定など新しい技術開発の必要性が認識され、長年、技術者達がこの問題に取り組んできました。そして、1996年にDr. Chaが部位別測定や多周波数測定を適用し、インピーダンス・身長・体重のみで体成分を算出するDSM-BIA(Direct Segmental Multi-frequency Bioelectrical Impedance Analysis)機器を開発し、InBodyが誕生しました。ようやく、BIA機器が信頼を得て医療・研究など専門分野でも広く使用できる時代が幕を開けました。


最新技術を搭載したDSM-BIA機器

InBodyは人体を右腕・左腕・体幹・右脚・左脚の5つの部位に分けて、1~1000kHz内の低周波数と高周波数の交流電流を組み合わせてそれぞれ測定します。部位毎に分析する点や精度はDEXAと同じですが、DEXAよりもはるかに迅速かつ簡便です。そして、多周波数によるインピーダンス測定は水分バランスも測定できるので、筋肉量だけでなくその質まで解釈することを可能にしました。筋肉量と筋肉の質※を一緒に分析できるのは、最新のDSM-BIA機器だけです。

※健康な体は筋肉量が多いだけでなく、筋肉を構成する水分バランス(細胞外水分比、ECW/TBW)も必ず標準的な割合が維持されます。例えば、体が浮腫むと筋肉が水増しされる形で筋肉の質が落ち、栄養状態が悪くなると筋肉の細胞が脱水状態になる形で筋肉の質が落ちてしまいます。ECW/TBWの標準範囲は0.360~0.400で、一般的にECW/TBWは0.400を超えると高いと評価します。

実際に測定した結果を見ても分かるように各部位でインピーダンスが異なりますが、体幹のインピーダンスは腕や脚のインピーダンスの10分の1以下にもなる場合があります。体幹の筋肉量は全体の50%近くを占めるにも関わらず、インピーダンスは四肢と比べるととても小さいです。つまり、インピーダンス1Ωの変動に対して、四肢の筋肉量への影響は僅かでも体幹の筋肉量への影響はとても大きいということを意味します。そのため、体幹を単独で測定することがとても重要で、体幹部の誤差をなくすことは、結果的に全体の測定精度を大きく高めることになります。InBodyは部位別測定や多周波数測定などの技術を開発したことによって、次のような詳細情報を提供します。

※こちらの項目はInBody770で提供している項目の一部です。

※こちらの項目はInBody S10で提供している項目の一部です。


過去のBIA機器と最新DSM-BIA機器の計測データ(インピーダンス)を比較する

➀両脚だけを測定する機器、➁両腕だけを測定する機器、➂最新DSM-BIA機器、それぞれで計測されるデータは次のようになります。

➀と➁の測定方法では、重要な体幹データが欠落しています。また、片半身(右)だけを単周波で測定するBIA機器は右腕・体幹・右脚の3つの部位に電流を流しますが、片半身を一つの円柱と捉えるために、得られるインピーダンスデータは一つのみです。このようなBIA機器では、せいぜい体成分の大まかな値しか算出できません。従って、➂の測定方法のみ人体の全体像を捉えることができ、DEXAと比較した際に高い相関が得られます。


簡単、迅速、正確な方法


これまでの古いBIA機器には、技術的に克服しなければならない設計上の問題がいくつもありました。そのため、信頼性や再現性では評価を得られませんでした。しかし、最新のDSM-BIA機器はこれらの課題を克服して、専門的な使用を目的とした現場のニーズにも対応できるようになっています。

今日、BIA技術は古く使い物にならない技術ではありません。改良された技術を搭載したDSM-BIA機器は、従来のものと同様に簡単・迅速な測定方法としての利便性と、ゴールドスタンダードによって認められた精度が融合されています。DSM-BIA機器を使用することで、医師・研究者・フィットネス専門のトレーナーらは測定者の体成分をより正確に可視化できるため、InBodyは臨床検査・臨床試験・栄養指導・運動指導の必需品として選ばれています。

このトピックの前編を見逃している方は、こちらもご覧ください☞「BIA技術の限界と克服 Part1: BIA技術の黎明