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日本体育大学スポーツキュアセンター

「選手の競技パフォーマンスを支える」
機種モデル:InBody770


日本体育大学の横浜・健志台キャンパス内にあるスポーツキュアセンター横浜・健志台接骨院(以下、Sport Cure Center; SCC)は、2015年に保健医療学部附属の臨床実習施設として開院されました。柔道整復師の資格を取得し、医療の立場からアスリートに貢献したいと考えている学生の臨床実習の場となっています。SCCには様々な評価機器・治療機器は勿論、競技復帰のためのトレーニングスペース・機器も備わっており、競技特性を考慮して怪我の再発を予防するトレーニング指導も行われています。横浜・健志台キャンパスでは、ラグビー、サッカーやレスリング、陸上、体操など様々な種目のクラブ活動が行われており、クラブに所属している学生の多くがキャンパス内や近隣にある寮で生活しています。SCCもキャンパス内にあるため、怪我をしてしまった学生はすぐに専門家による適切な応急手当を受けることができます。そして治療から、競技復帰までのアスレティックリハビリテーション、再発予防までのトータルサポートを地域密着型ならぬアスリート密着型として提供しています。また、近隣の住民向けに「腰痛さようなら体操」「めざせ!トップアスリート」などの公開講座も定期的に開催することで、これまでアスリートの治療で培ってきた知識や技術を地域社会に還元すると共に、臨床実習施設としての役割も充実させています。


接骨院の開院前からの携わり


SCCの院長である伊藤譲先生は、日本体育大学保健医療学部整復医療学科の教授でもあります。伊藤先生は鍼灸師免許取得後、鍼灸学の修士課程を修め、卒業後には鍼灸院開業へと進路を考えていました。しかし、はりやきゅうは一般的に痛い・怖いという印象が強く、鍼灸治療の経験がない患者が自発的に鍼灸院に来院することはほとんどありません。そのため、手技・物理療法などの施術も選択できる鍼灸接骨院での開業を目指し、柔道整復師の国家資格を取得しましたが、恩師の誘いにより教員の道を選択しました。その後、大阪医科大学大学院医学研究科で博士課程を修め、柔道整復師を養成する大学で教鞭を執り、2014年4月に開設された日本体育大学保健医療学部の教授に就任しました。翌年10月には臨床実習施設となる接骨院を開院することになり、先生は施設の図面・名称の提案から、導入する評価・医療機器の選定まで携わりました。伊藤先生は資格マニアと言われるくらい様々な資格を保有しており、柔道整復師の他に、はり師・きゅう師・JSPO公認アスレティックトレーナー(JSPO-AT)・JATI認定トレーニング指導者(JATI-ATI)・健康運動指導士などの資格を取得しています。

「一般的に資格はスキルの証です。私は現在、柔道整復師、JSPO-ATとJATI-ATIを養成する学科の教員ですので、これら以外の資格を取得して新しく何かを始めるということはありません。勿論、知識や技術は習得できますが、私は資格の特性や勉強法を学生さんにアドバイスすることを目的として資格を取っています。今後も時間の許す限り、スポーツや健康に関する資格を取得しようと思います。だんだん年をとってきたので資格取得の勉強は頭のトレーニングにもなります。」


採択された信頼性のある評価機器

「SCCでは、患者さんが施術を受けて良かったと、施術の効果を実感してもらうことを重要視しています。そのためには患者さんの身体から得られる情報を数値化する必要があります。根拠に基づく柔道整復術(Evidence based Judo therapy; EBJT)を推進するためにも、測定値が信頼できる評価機器を導入しています。」

SCCには、軟部組織の硬さを評価できるエラストグラフィー機能を持った超音波観察装置や、筋力測定器・足底圧測定器・重心動揺計・筋電計・姿勢測定器・骨密度測定器・AGEs測定器など十分な評価機器が置かれており、InBody770も開院時から導入されています。
「BIA機器はメーカーによって体成分の算出に使用している公式が異なるので、同じ測定者を測定した場合でも体成分の結果に差が生じてしまいます。そのため、同じメーカーで測定した結果同士でない限り、比較や変化の追跡が難しくなります。また、BIA機器によっては年齢・性別・人種・アスリートなどの統計的な情報によって、体成分の結果を補正してしまいますが、InBodyは身長・体重・インピーダンスのみで測定値を算出しているため結果が補正されません。」

伊藤先生は以前の上司がBIA法による体成分の研究に取り組んでいたこともあり、BIA機器に精通していました。そのため、周りの施設やスポーツ業界に導入されているBIA機器の普及度とレファランスに基づいた精度を考慮した結果、最終的にInBodyを採択しました。また、2005年から同キャンパス内のスポーツトレーニングセンターに、InBodyが導入されていたことも決め手の1つになりました。


怪我から競技復帰までのサポート

怪我により手術をしたアスリートは医師と連携をとりながら、SCCでリハビリテーションを受けています。その中には毎日来院されるアスリートも多く、アスリートにとって信頼できる施設であることが伝わってきます。InBodyはリハビリテーションにおいて回復状態の評価に活用されており、主に次の2つのことを確認しています。

① 負傷部位における筋肉量と質の回復状態
リハビリテーションを始めて負傷部位や身体を動かすことができるようになると、筋肉は段々引き締まって負傷前の状態まで回復してきます。負傷部位の筋肉量や筋肉の質を示す細胞外水分比などを参考にその変化を確認します。細胞外水分比の基準値は0.380(標準範囲:0.360~0.400)ですが、アスリートは筋肉が引き締まった状態なので、普段からこの数値を下回っていることが多いです。逆に、長期のオフ期間や負傷部位では細胞外水分比の数値が上がり、筋肉の質が低下していることを反映します。

▼ 野球部所属 右脚前十字靭帯損傷のケース
右脚筋肉量が増えて細胞外水分比が減少した結果から、右脚筋肉が段々引き締まる変化を確認できます。

※履歴グラフは取材を基に再現したイメージグラフです。

②四肢における左右筋肉量のバランス
従来のリハビリテーションは負傷部位を中心に行われてきたため、反対部位よりも筋力が強くなったり、競技とは関係のない筋肉が増えてしまったりする恐れがありました。筋肉量・筋力が左右どちらかに偏って増えるトレーニングを行わないために、筋肉量の左右バランスを確認します。

▼ 野球部所属 右脚前十字靭帯損傷のケース
左右の筋肉量に3%以上の差があり、やや不均衡な状態となっています。


※棒グラフは取材を基に再現したイメージグラフです。


自立したコンディションの管理

体重別で階級が分かれる、ウエイト制のアスリートの中には、InBody測定を目的に来院するアスリートもいます。
「アスリートは試合に向けて、コンディショニングの1つとしてInBodyを測定しに来ます。競技レベルの高いアスリートは総じてコンディショニングの達人です。継続して定期的に測定するだけではなく、調子の良いときや悪いときに測定することで、自覚的な調子をInBodyの数値で確認します。このように利用することで、更にセルフコンディショニングの精度が向上します。施術だけではなく、身体の評価を目的に来院するほど、InBodyを含めた評価機器はアスリートから信頼されています。現在は、ウエイト管理が厳しいアスリートが測定していますが、本来なら全アスリートがコンディショニングの1つとして評価する必要があります。」

▼ レスリング部所属 ウエイトコントロール活用のケース
体重77kg及び体脂肪率10%前後のコンディションを維持できています。

※履歴グラフは取材を基に再現したイメージグラフです。

最近は、部活の監督・コーチがアスリートのコンディションを把握するため、部活単位でアスリートを測定する機会が増えてきました。InBodyは体成分結果の履歴を残すことができるので、過去と現在の状態をモニタリングできます。


大学構内にあるSCCの存在意義


SCCの開院前、アスリートは怪我の治療やコンディショニングのために、練習後の限られた時間を使って近隣の治療施設に通わなければなりませんでした。しかし、キャンパス内にSCCが開院した現在では、通院のための時間を費やすことなく、損傷の程度を問わず、身体の不調や練習前のテーピングなども含めた処置を専門家から受けることができます。また、骨折や脱臼といった大きな怪我も適切な応急手当を行い、患者の希望を前提に損傷部位などに応じた医療機関を紹介しています。
「SCCには、スポーツによる怪我で悩んだ経験から柔道整復師の道に進んだスタッフが大勢います。そのため、彼らは怪我から復帰まで身体のトータルサポートだけではなく、アスリートに寄り添いながら、怪我に伴うメンタルの状態を理解することができます。」

更に、2020年4月からは保健医療学部に、新たな博士課程(保健医療学研究科運動器柔道整復学専攻)が新設されます。
「これまでも整復医療学科及び大学院修士課程保健医療学研究科(高度実践柔道整復師コース)の臨床研究施設としての役割を担ってきましたが、これからもInBodyを含めた評価機器を用いて柔道整復術に対する客観的な評価を実施していきます。その積み重ねが根拠に基づく柔道整復術(EBJT)につながり、接骨院全体における治療レベルの水準が高まることを期待します。そして、SCCには多数の評価機器が導入されているので、近隣の接骨院に通う患者さんの評価だけを担う機能、すなわち近隣の接骨院から評価の依頼を受けて評価結果をお返しするといういわば検査機関としての機能をもたせることで、施設同士の交流・協力関係を構築していきたいと考えています。」

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