ツインデンタルクリニック
-歯科分野における保健指導の重要性-

機種モデル:InBody370

ツインデンタルクリニック院長の呉 沢哲先生は、2017年よりPOPS研究会(Perpetual Oral Physical Salutogenesis:永続的な口腔と全身の健康増進) を立ち上げ、保健指導をする歯科医院の普及により、国民の健康増進やフレイル予防を広めようと活動している第一人者です。また、2016年10月号に出版された臨床歯科分野の月刊誌ザ・クインテッセンスの「歯科医院で保健指導を! 体成分分析装置(InBody)の活用術」や日本顎咬合学会誌の「体組成分と歯数の相関性の考察インピーダンス式体組成分器を用いて」の著者でもあります。


呉先生は1997年に大阪大学歯学部を卒業し、同年の4月から医療法人新生会への勤務を経て、2010年にツインデンタルクリニックを開業しました。クリニックは “歯科医療” と “保健指導” の2本柱から、口腔と全身の健康を支えることに焦点を当てている数少ない施設の1つです。呉沢哲先生は訪問診療や高齢者の要介護の現場で患者と接した経験から、外来患者に対して病気や要介護にならないために、健康啓発を行っていくことの重要性を感じ、これが体成分分析装置InBodyと出会うきっかけとなりました。当初、歯科の現場でInBodyを中心とした保健指導の必要性を患者に伝えることは容易ではありませんでしたが、今では患者の定期健診来院の強化と口腔と全身の健康を改善するアプローチとして、重要な戦略の1つとなっています。


保健指導のきっかけになるInBody測定

「体成分で一番重要なことはバランスです。InBodyのデータでは、体重・筋肉・体脂肪の量的バランス、部位別筋肉のバランス、BMIと体脂肪率をもとにした体型バランスが適正かどうか、一目で分かります。このようなInBodyデータの可視化的特徴を生かすことで、日々の食事や運動に対する目標を明確化できるようになりました。」

クリニックでは、実際に保健指導を本格導入する1年前から、InBodyの数字の読み方や、食事と運動の基礎的なことを少しずつスタッフと学びました。導入後は基本的に定期健診ごとに患者へInBodyの案内をして、希望者に無料で計測を行っています。また、問診票の末尾にInBody測定の希望有無の欄を設けて、初診患者の認知度が高まる工夫も行っています。


患者の反応とCASE STUDY

患者はInBodyで可視化されたデータが動機づけとなり、生活習慣を見直すきっかけを持つこととなります。
「InBody計測後の患者の反応はまちまちですが、少なくとも定期健診時のInBody計測は患者自身の健康と向き合う機会になっていることは間違いありません。いったん計測に対する関心が生まれると、定期健診ごとに患者自ら計測をリクエストすることも少なくありません。保健指導の中で、体調が改善できた方から直接お礼の手紙をいただくこともありました。」
次に実際にクリニックで計測した3名のCASEを紹介します。

CASE1:InBody測定をきっかけに体成分のコントロールに成功している49歳男性

CASE2:もともと健康志向で体成分を見事にデザイン・維持している56歳男性

CASE3:生活習慣が安定しない32歳女性


InBodyを取り入れたことにより高まる定期健診受診率

InBodyの長所は客観的に健康度を数値化できる点です。今の自分の健康度を可視化することで、近い将来のなりたい自分の健康度に対する数値目標がイメージしやすくなります。患者は次の健診までに何らかの行動変容(ウォーキング、食事制限など)を行うと、InBody計測が非常に楽しみになり、次の健診に足を運びやすくなります。また、体質改善にはおおよそ3ヶ月かかると言われており、一般的な歯科の健診期間3ヶ月と一致します。

InBodyを本格導入してから、歯科衛生士の診療回数や定期健診患者数などのクリニックの数字は大きく成長しています。2013年にInBodyを導入し、現在では歯科衛生士の診療回数、定期健診患者数ともに倍増しています。
「定期健診受診率を上げるのはあくまで中間目標です。InBodyを含めた保健指導によって、患者の行動変容を起こすことこそがエンドポイントです。しかし、中間目標である定期健診の受診率を向上させない限りは、保健指導のチャンスは増えません。クリニックの取り組みにより患者の健康に関する概念や定期健診の関心が高まったことは勿論ですが、スタッフ自身が健康増進型歯科医院の在り方を意識し、患者への積極的な働きかけが行えたことも受診率向上の要因の一つになっていると考えます。」


歯科医院で保健指導を広めるための活動 -POPS研究会-

歯科医院は他科のクリニックとは違い、子どもから高齢者まで幅広い年齢層の人たちが頻回に通う施設です。つまり、歯科はあらゆる世代の健康に関心のない人たちに対して、口腔と全身の健康への意識付けやきっかけ作りをする場として適しています。POPS研究会は、定期健診のたびに口腔ケアと保健指導によって、心身の健康を継続的に維持できる健康増進型歯科医院を増やし、全国で歯科医院から国民の健康を広めていくことを使命としています。


呉先生は歯科医院の中で保健指導を行えるように、自身の経験や構築したシステムを同業の先生に積極的に紹介しています。ツインデンタルクリニックでは、保健指導の効果が現れ患者数や保健指導を行う機会が増えていることから、今年の2019年4月から新たに管理栄養士を2名採用しました。他のクリニックでも管理栄養士を採用し、保健指導を行っている施設が増えてきています。

「歯科は、国民の半分くらいが半年以内に受診しているという特徴があります。眼科や内科は目に不調があった時、風邪を引いたときなど、何か症状があった時しか受診しません。他科では、歯科のように定期的に医療機関に通って管理しているという人は多くありません。そういう特徴を生かして歯科医院の中で保健指導を広めていけると感じています。POPS研究会を通して、同じ考えの先生をサポートしていきたいです。大きなビジョンですが、将来的には歯科医院で保健指導を行うのが一般的な世の中にしたいと考えています。」


終わりに

InBodyは定期健診強化のための保健指導ツールの1つです。歯科医院で保健指導を行うことは雲を掴むような取り組みですが、InBody導入によって保健指導の初期行動が明確になり、患者の行動変容を起こすきっかけとなります。

「今後、歯科医院において定期健診の強化を図るうえで、保健指導の重要性は増すと考えています。全国の歯科医院でInBodyを含む保健指導の波が押し寄せ、健康寿命のさらなる延伸とより活気のある歯科界が実現できれば幸いです。」