さかえ訪問クリニック
-InBodyを活用した肥満2型糖尿病患者の健康管理-

✓InBodyを活用する目的
● 運動指導、栄養指導、治療薬の効果を可視化するため
● 地域住民の健康増進のため

✓InBody970導入の決め手
● InBodyシリーズで最も多くの周波数(8種類)が使用されており、高精度で体成分を算出できるという点

✓得られた効果
● 定期的にInBody測定することで筋肉量や体脂肪量など身体の状況を数値で確認することができ、自分の行動が良い結果に繋がっていることを実感できた
● インスリンや血糖降下薬を卒業、漸減できた
● 患者だけでなく、アスリートなど多くの方がクリニックに来場されるようになった

機種モデル:InBody970

さかえ訪問クリニックは、訪問診療・循環器内科・発熱外来を中心とした、地域に密着した医療を提供しているクリニックです。また、肥満を伴う2型糖尿病患者を対象にした運動・栄養指導、2型糖尿病治療薬の処方により食欲を抑制し食事量を減らすことで、肥満により生じる様々な健康障害の解消に繋げる治療を行っていることも特徴です。

▲ 徐 大樹(そ てす)先生

院長の徐 大樹先生は、両親が歯科医院を経営していることから医師という職業が身近であり、また自分が生まれ育った町に貢献したいという想いから、いずれは名古屋市で開院したいと考えていました。愛知医科大学医学部を卒業し、大学病院の循環器内科やクリニックの在宅医療で経験を積んだ後、2022年に名古屋市中区にさかえ訪問クリニックを開院しました。

徐先生:
「大学卒業後、約8年間は愛知医科大学や名城病院で循環器内科医として心筋梗塞・心不全の急性期医療や重症度の高い症例を経験し、その後約7年間は成田記念病院で糖尿病・高齢透析の患者様への対応や、他院とも連携して行う下肢を切断から救う診療にも携わりました。同時に、総合内科医としても様々な内科の経験を積みました。さらに約1年間はみどり訪問クリニックで在宅医療関連を経験し、新型コロナ感染症の自宅療養患者様の治療やフォローアップを行いました。この約16年の間で、循環器内科医・総合内科専門医・糖尿病認定医の資格を活かして様々な経験を積むことができ、開院に踏み切りました。」


2型糖尿病患者の肥満について

糖尿病とは、血糖値を一定に保つ働きを持っているインスリンが十分に機能せず、血液中を流れるブドウ糖 (血糖) が増えることで、血糖値が高い状態 (高血糖) が続く病気です。糖尿病の種類は四つに分けられますが、日本人の糖尿病患者の約95%は2型糖尿病と言われています。2型糖尿病は、生活習慣の乱れ・肥満・過度のストレス・遺伝などが原因で発症したものを指します。2型糖尿病の治療は、運動療法と食事療法により肥満を解消して体重を適正にコントロールすることが基本で、これらで改善が認められない場合は経口薬や注射薬による治療が行われます。近年、肥満を伴った2型糖尿病患者の割合は世界的に増加しており、糖尿病パンデミックが大きな問題となっています。

徐先生:
「生活習慣の乱れ (食べ過ぎ・運動不足・喫煙など) がある人ほど、2型糖尿病を発症しやすくなります。何十年と続けてきた生活習慣を変えることは難しく、運動や栄養の指導をしても実際に改善できる患者様はほんの一部です。運動や栄養の指導に根拠を持たせるためにも、私自身運動をしたり、栄養改善をしたりすることで、減量できるかどうかを試していますが、継続することの難しさを実感します。患者様の減量に対する負担を少しでも減らし、運動や栄養改善の効果を高めることを目的に2型糖尿病治療薬を活用しています。食欲を抑制し食事量を減らせることから、運動や栄養改善の効果を高めることができます。」


運動や栄養改善の効果を数値化できるInBody970

運動や栄養改善、また治療薬の効果を可視化することを目的に、InBody970が2023年に導入されました。

▲ 院内で活用されているInBody970

徐先生:
「様々な分野の医師が集まるオンラインサロンで情報交換をしていた際に 『InBodyいいですよ』 と話を聞いたことがInBodyを知ったきっかけでした。患者様に運動や栄養改善、治療薬の効果を実感してもらうことを目的に筋肉量や体脂肪量などを数値化したいと考えていたこともあり、InBodyの導入を決めました。また、せっかく導入するのであれば、周波数が8種類 ( 1, 5, 50, 250, 500, 1000, 2000, 3000 kHz) 使用されていて他の機種よりも体水分量などが高精度で算出できると言われている、InBody970の導入を決めました。」

運動や栄養指導では、具体的な目標を患者に課すことが重要です。InBodyでは全身の筋肉量や体脂肪量だけではなく部位別筋肉量・部位別体脂肪量などの部位別情報も提供できるため、より具体的な目標を数値で示すことができます。

▲ 資料を見せて栄養指導を行う

徐先生:
「患者様に運動や栄養指導を行う上で、目標設定が重要だと考えています。何より運動や栄養改善を行った結果、効果があったか “変化” を見ることが重要で、InBodyを継続して測定することで、実際に良い変化があったかどうかを確認でき、具体的なフィードバックが行えます。」


2型糖尿病患者のInBody活用法

徐先生:
「必ず初診時にInBodyを測定してもらうことで、治療開始時における患者様の身体状況を把握しています。結果用紙やその他の検査結果を基に、運動や栄養の具体的な指導を行い、患者様によっては治療薬を処方します。糖尿病治療薬が2週間分しか処方できないということもあり、糖尿病患者様は2週間に1回はご来院いただくため、InBody測定も2週間毎に実施して治療効果を確認しています。減量しすぎても良くないですから、InBodyの結果からあまりにも減量しすぎている方には、 『食事内容を見直し、P:F:Cを5:3:2で摂りましょうね』 などと具体的に指導するようにしています。また患者様も自分の取り組みの効果を数値で確認できるため、良い結果が出た場合は喜んで継続する動機に繋がり、改善が見られなかった場合は次どうすれば良くなるのかと積極的にご質問いただきます。」

単身赴任により他院から紹介にて来院された2型糖尿病を患っている50代男性のAさんですが、当初はインスリンやその他血糖降下薬を併用していました。運動療法や食事療法を頑張っていらっしゃる方でしたが、血糖が横ばいで改善されないことが課題でした。初診時のHbA1cは7.4%で、InBodyは体重67.9kg、筋肉量50.4kg、体脂肪量14.5kg、BMI24.6、体脂肪率21.4%でした。BMIが25に近く、体脂肪率も標準範囲を超えていることからやや肥満の状態です。

※血糖コントロールの目安として日本糖尿病学会では、血糖正常化を目指す際の目標をHbA1c 6.0%未満、合併症を予防するための目標をHbA1c 7.0%未満、治療強化が困難な際の目標をHbA1c 8.0%未満と定めている。

▲ Aさんの初診時測定結果 (2023/6/13)

Aさんの日常生活 (運動・食事など) に関するヒアリングを行い、具体的な運動や栄養の指導を行います。また新たな2型糖尿病治療薬を処方し、様子を見ながらインスリンを漸減しました。InBodyは約2週間ごとに測定を行い、効果が出ているか、痩せすぎてはいないかなどを確認します。

初診から約5ヶ月後のHbA1cは6.2%で、InBodyは体重62.0kg、筋肉量48.4kg、体脂肪量10.6kg、BMI22.5、体脂肪率17.2%と、これらの結果からも明らかな治療効果が確認できました。運動や栄養改善の努力と、新たに処方した2型糖尿病治療薬の相乗効果により、最終的にはインスリンや他の血糖降下薬の卒業も達成できました。

▲ Aさんの5ヶ月後測定結果 (2023/11/7)

徐先生:
「Aさんはインスリンやその他血糖降下薬を併用しながら、運動や栄養改善などにも積極的に取り組んでおられましたが、血糖値の変化が見られずこれ以上何をすれば良いのかとストレスを抱えていました。まずはご自身の状況を詳しくヒアリングし、またInBody測定やその他検査を行うことで現在の身体の状況を把握しました。InBodyの測定結果からもまずは体重を減らす必要があると判断できたため、運動や栄養の指導を行い、新たに2型糖尿病治療薬を処方しました。2週間に1回のペースで定期的にInBodyを測定することで、身体の変化を確認しながら指導を行いました。6月の結果と11月の結果を比較すると体重は約6kgも減少でき、特に筋肉量よりも体脂肪量の減少量が多く出たことが良かったです。AさんはInBodyによって随時身体の状況を数値で確認しながら、自分の行動が良い結果に繋がっていることを実感できたことが、継続に繋がった大きな理由だったと話していました。」


InBodyを地域住民に無料で開放

▲ 無料で開放しているInBody970の測定風景

さかえ訪問クリニックでは、糖尿病患者だけでなく地域住民の方にもInBodyを無料で開放しています。

徐先生:
「InBodyを無料で開放しているため、地域の方々がInBodyのみの測定で来院されることがあります。地域の健康促進のためには、まずは住民の皆様が自分の身体の状況を知ることが重要です。身体の中身を数値で表せるInBodyの強みは、運動や栄養改善に大変役立ちます。一人一人の健康状態が改善されていけば、地域の健康を底上げすることにも繋がります。また、InBodyの無料開放は地域の方々にさかえ訪問クリニックを知ってもらうきっかけにもなります。アスリートの方が測定に来られることもあり、測定結果やお互いのトレーニング内容などの議論はとても貴重で、私の知識にもなると考えています。実際に聞いた成功例などの情報は、患者様を対象とした運動・栄養指導に活かすことができると思っています。」

※InBodyの公式ホームページでは 「InBody測定ができる施設 」 を公開しています。愛知県のページではさかえ訪問クリニックの情報を確認することができます。こちら よりご確認いただけます。


今後について

徐先生:
「今後は2型糖尿病患者様だけではなく、非糖尿病の肥満の方へもアプローチしたいと考えています。肥満に悩み体質改善したいと思っている方は多くいます。だからこそ、その第一歩として自分の身体を数値化でき、変化を明確にモニタリングできるInBodyを地域の健康促進のために無料開放しています。測定のみでも大丈夫なので、是非気軽にInBodyを測定しに来てもらえると嬉しいです。」